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私たち人類は、他の多くの生命と、地球という世界を分かち合って生きています。
そして、多くの恩恵を「資源」として、さまざまな生きものたちから得て暮らしています。
きれいな空気を呼吸するためには、光合成をする植物が必要です。
体の中には、大腸菌などがいてくれないと、生きていけません。海や森からの恵み、清浄な水、土の力、安定した気候、全てが「生物多様性」の恩恵として、もたらされています。
人は、生命が生み出すものを食べ、それを着、生命のバランスが保たれることによって維持されている、地球環境の中で生活している、と言っても過言ではありません。
もちろん、その生物たちは、人間のためだけに存在しているのではありません。
それらの生命の多くは、人間の利害とは関係なく、この世界に生まれ、生存してきました。
その歴史は、地球上に最初の生命が誕生した、40億年も昔に始まり、世代を重ね、親から子へと引き継がれながら、進化の道のりをたどってきました。
「生物多様性」とは、単に動植物の種類が多いということだけを意味するものではなく、この長い歴史と、その中で育まれてきた生きものの相互のつながりをも、指し示す言葉なのです。



数十億年の長きにわたって受け継がれ、形作られてきた、生物の多様性。
しかし、「生物多様性=Biodiversity」という言葉が生まれたのは、ごく最近のことです。
この言葉は1985年、2つの言葉「生物的な=biological」と「多様性=diversity」を組み合わせた形で作られました。
以来、この言葉は、世界の政治家や科学者、生命の科学的探究に心を寄せる人や、環境保全を考える多くの人たちによって、支持され、使われるようになります。
その背景にあったのは、地球環境の未来に対する危機感からでした。
20世紀後半から、世界の各地、とりわけ自然が豊かに残っていた途上国地域を中心に、急激に進み始めた、さまざまな自然破壊が、世界全体をも脅かしかねない「環境問題」を引き起こしてきたためです。
地球の環境問題。それはまさに、人類自身が自然環境を改変し、多くの生物を減少・絶滅に追い込み、地球の「生物多様性」を大きく損なおうとする、世界規模の問題でした。
「生物多様性」という言葉が広く使われるようになった背景には、この問題と、地球環境の現状とをより広く、深く認識し、解決していこうとする人たちの、強い意識があったのです。


