活動トピック

ASCについて

「海のエコラベル」として知られるMSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)では、海の自然や資源を守って獲られた持続可能な水産物(シーフード)を認証し、エコラベルをつける取り組みを行なっています。これと同様に、天然の水産物ではなく、養殖による水産物を、同様に認証する仕組みがあります。養殖版海のエコラベルの「ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)」の認証制度です。
WWFは、国際的な海洋保全活動の一環として、MSC認証制度と共に、ASC認証制度の普及をサポートしています。

ASCマークって何?

日常生活の中で消費しているさまざまなシーフードには、大きく分けて、海や川で獲られた「天然の」魚や貝と、人の手で育てられ、流通している「養殖の」魚や貝があります。

この「養殖」は、人類が地球上で利用している食料の生産システムの中で、最も成長が著しく、世界の水産物のおよそ半分を占めるほどになっています。

しかし、こうした養殖水産業には、海洋環境の悪化、餌となる天然魚の過剰利用、養殖魚の逃避による生態系の攪乱など、環境に悪影響を及ぼすケースが少なくありません。

  • 養殖場建設による自然環境の破壊
  • 水質や海洋環境の汚染
  • 薬物の過剰投与
  • エサとなる生物(天然資源の魚などを含む)の過剰利用
  • 養殖された魚が病害虫を自然界に持ち込む
  • 養殖場から逃げ出した個体が外来生物として生態系に影響を及ぼす
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さらに、劣悪な労働環境のもとで、こうした養殖業が行なわれているケースも指摘されており、社会的な問題になっています。

2050年には世界人口の増加が予想される中で、養殖水産物は貴重なタンパク源であり、安定的な食糧供給の観点からも、引き続き拡大が見込まれています。これらの課題を解決し、養殖業を持続可能な形で行ないながら、そこに従事する人たちの暮らしに配慮することが求められています。

その手段の一つが、「ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)」の認証制度です。環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業を「認証」し、「責任ある養殖水産物」であることが一目でわかるよう、エコラベルを貼付して、マーケットや消費者に届けます。

問題に関心を持つたくさんの消費者が、このラベルを見て製品を選べば、消費者が持続可能な水産物の取り組みを後押しすることができます。

ポイントとなるのは、

  1. 自然資源の持続可能な利用を補いながら、
  2. 養殖そのものが及ぼす環境への負荷を軽減し、
  3. これらに配慮した養殖業に携わる地域の人々の暮らしを支える

ASCの養殖水産物の認証は、そのための社会的な仕組みの一つなのです。

関連資料:

基準づくりを担う「水産養殖管理検討会」

ASCは、この認証制度の管理運営とラベリングを行なうため、WWFとオランダの持続可能な貿易を推進する団体IDH(Dutch Sustainable Trade Initiative)の支援のもと、2010年に設立されました。

特徴的なのは、認証制度の根幹となる基準が、「アクアカルチャー・ダイアログ(水産養殖管理検討会)」という円卓会議で、多様な関係者の意見をもとに策定されるという点です。水産養殖管理検討会は、ASC認証の対象となる魚や貝の種類別に設置されます。運営委員会を中心に、検討会の開催と議論、基準案の公開とパブリックコメントの実施などを経て、基準を策定します。この過程には、研究者や環境保護団体だけではなく、生産者や生産者団体、バイヤーをはじめとする水産物流通関係者が参加して、さまざまな視点から、認証制度の根幹となる基準作りが行なわれています。

水産養殖管理検討会が策定した基準は、ASCに引き継がれ、その後はASCが基準を管理することになります。

関連資料:

現在のところ、ASC認証の対象としてとなっている魚介類は、全部で12品目。これらのうち、すでにティラピア、パンガシウス、サケ、二枚貝(カキ、ホタテ、アサリ、ムール貝)、アワビ、淡水性マスについては、基準作りの作業が完了し、ティラピアとパンガシウスは認証製品が誕生し、流通が始まっています。

エビ類、ブリ類、スギについても2013年中に、最終版が公表される予定となっています(2013年8月現在)。

関連情報

消費者とサプライチェーン、
生産者の視点から

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ASCの取り組みは、消費者に、環境と社会に配慮した責任ある養殖水産物を確実に届ける手段です。ASCマークの付いた製品を選ぶことで、消費者自身が、そのような養殖業を支えることができます。

また、その水産物がどこでどのようにして生産されたものか、その情報を明らかにするものでもあります。ASC認証によって、その養殖生産品の原産地や生産手法が明らかにされ、追跡可能(トレーサビリティー)となるからです。

また、こうした情報の明確化は、生産者や流通側が、自分の生産品、製品に対してより責任を持って養殖業に関わることにもつながります。

このASCの取り組みは、まだ始まったばかりですが、水産物の世界的な消費大国である日本と、水産養殖物の9割を生産しているアジア地域では、今後重要性が高くなる可能性を秘めています。

ASC認証のしくみ

ASCの認証では、生産現場の養殖場はもちろんのこと、養殖水産物の加工・流通の過程でも審査が行なわれます。ASCのマークをつけてお店に並ぶのは、厳しい審査をパスした信頼ある製品だけ。消費者もこのASCのマークによって、それが自然環境への負荷を最小限に押さえ、法令・人権・労働といった社会的な側面でも責任ある経営・管理を行なっている養殖場で生産された製品であることが分かります。※詳細情報


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