WWF 「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクト 第3弾 『食料品』業種


記者発表資料 2016年4月12日

第3弾 『食料品』業種のランキング発表

【東京発】WWFジャパンは、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトにおける報告の第3 弾として、本日、『食料品』の業種に属する日本企業25社の調査結果を発表した。キリンホールディングスが第1位(100点満点中80.0点)となり、以下 日本たばこ産業(同70.4点)、味の素(同63.0点)が続いた。2015年に環境CSR報告書類の発行がなかった江崎グリコは評価の対象から除外し、残りの24社について評価を行った。

順位企業【総合得点】
(100点満点)
【目標・実績】
(50点満点)
【情報開示】
(50点満点)
第1位キリンホールディングス 80.0 32.8 47.2
第2位日本たばこ産業 70.4 27.3 43.1
第3位味の素 63.0 26.6 36.5

重要7指標

  • 長期的なビジョン
  • 削減量の単位
  • 省エネルギー目標
  • 再生可能エネルギー目標
  • 総量削減目標の難易度
  • ライフサイクル全体での排出量把握・開示
  • 第3者による評価

本結果は、環境CSR報告書などで公開されている情報のみに基づき、各企業の取り組みレベルを同一の指標(全21指標)を用いて評価したものである。評価指標は、温暖化対策の①目標および実績に対する評価(計11指標)と②情報開示に対する評価(計10指標)の2つの側面から成り、いずれにおいても、温暖化対策の実効性を重視している点が大きな特徴である。21の指標の中で、実効性の観点から特に重要な7つの指標は上記の通りである(上記カコミ参照)。第1位のキリンホールディングスは、重要7指標の内、長期的ビジョン、ライフサイクル全体での排出量の開示など計4 つの指標で満点を獲得し、2位以下の企業に差をつける結果となった。

温暖化対策において省エネと共に鍵をにぎる再生可能エネルギーの普及拡大において、企業は極めて重要なステークホルダーであるが、評価を行った24社の内、味の素のみが、定量的な再エネの導入目標を掲げた上で、着実に取り組みを進めていることが判った。過去に調査結果を発表した『電気機器』編、『輸送用機器』編を合わせた3業種の全96社で見ると、再エネ目標を掲げていたのは計7社にとどまったものの、実に50社が再エネの活用に関する定量的なデータを開示しており、温暖化対策としての再エネの重要性が高まりつつあることが判った。

『電気機器』や『輸送用機器』のように、製品が使われる際に大きなエネルギーを消費する業種とはやや性質が異なるものの、今回の『食料品』業種においても、自社の事業範囲の上流・下流(Scope 3)を含んだライフサイクルでの意欲的な取り組みが見られた。たとえばキリングループは、アサヒビールやサッポロビール、サントリーグループなどと共同配送を行うことで、輸送時の排出削減につなげている。カゴメも、同様に他の企業グループとの共同配送に取り組んでいる。本業においては競合する部分がありつつも、それ以外のところでは垣根を超えた協働を行い環境負荷の低減に努める姿勢は評価できる。容器包装の軽量化や梱包の工夫などによって、製品輸送時の排出削減やサプライヤーにおける容器製造時の排出削減につなげているケースも見られた。さらには、消費者が調理を行う過程でのCO2削減につながるような工夫を施した商品開発も見られた。これらは、いわゆる「製品の使用等による削減貢献(avoided emission)」に該当する取り組みとみることができる。キリンホールディングスや日本ハムなどは、Scope 3の排出量を15のカテゴリーごとに開示しており、ライフサイクルを通じた取り組みを着実に進めている。

京都議定書の第1約束期間(2008~12年)が終了し、日本は2013年から自主的目標へと移行した。その後日本政府は、従来の2020年目標(1990年比25%削減)を大幅に引き下げ、実質的には1990年比では3.1%増加させるという目標を発表した。こうした国レベルの温暖化対策の後退の影響もあり、自社の削減目標を持つことをやめてしまう企業も確認された(日清製粉グループ本社)。過去の『電気機器』編においても、同様に目標設定をやめたり、目標レベルを引き下げる企業が散見された。その一方で、科学的知見に基づいた長期的なビジョン・目標の下で着実に対策を進める企業の存在も確認された。キリンホールディングスは、自社のバリューチェーンから発生する環境負荷を地球が賄うことができる能力とバランスさせることを目指し、バリューチェーン全体のCO2排出量を2050年に半減するという目標を掲げている。短いタイムスパンでは、そうした長期目標に沿った短期目標を掲げ、取り組みを進めている。

COP21でパリ協定が成立し、今後企業の温暖化対策においても、従来のような設備投資計画などに基づいたボトムアップの視点だけではなく、科学的な知見に基づいた長期的な視点を持ち、バックキャスティングによる目標設定が不可欠となる。長期的なビジョンを描いた上で、自社の事業範囲(Scope 1,2)に加え、Scope 3や「製品の使用等による削減貢献」など、ライフサイクルを見据えた温暖化対策を実践していく。パリ協定を受けて、今後企業に求められるのは、こうした戦略的な取り組みである。

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