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レッドリストに記載されたアユモドキ保全のために、京都スタジアム(仮称)建設は白紙に戻して見直しを

記者発表資料 2015年11月25日

2015年11月19日、IUCN(国際自然保護連合)は、最新の科学的情報に基づき、アユモドキを「レッドリスト」に絶滅危惧種のランク(CR)で記載した。これを受けて、WWFジャパンは、25日、京都府知事に対して、京都スタジアム(仮称)の建設計画は、白紙に戻して見直すべきという意見書を提出した。

京都府が亀岡市に建設を予定している「京都スタジアム(仮称)」は、天然記念物および種の保存法指定種(国内希少野生動植物種)であるアユモドキの生息に影響をおよぼす懸念があることから、WWFジャパンは、事業計画の根本的な見直しを含む再検討を京都府知事などに、2014年4月、本年1月、本年5月と意見書や要望書を送って求めてきた。

今月19日、IUCN(国際自然保護連合)はレッドリストの最新版を公開し、アユモドキをCRという絶滅危惧種でも、もっとも高いランクに記載した。これまでは情報不足(DD)のカテゴリーにあったが、最新の科学的情報をもとに、絶滅危惧種に位置づけた。

これによって、世界的にも希少なアユモドキの保全の重要性が明確になった。アユモドキは岡山県内の2カ所と亀岡市の1カ所の計3カ所にしか生息が確認されていない我が国の固有種である。

ついては、WWFジャパンでは、現在の予定地での建設計画を白紙に戻して見直すべきと考える。
スタジアム建設計画では、3.6haの「共生ゾーン」の設置がうたわれているが、今後の種の存続を保証するものかどうか、科学的には不明確である。

京都スタジアム建設に係るアユモドキへの影響に関しては、京都府および亀岡市が設けた環境保全専門家会議で議論がされているが、今回のIUCNのレッドリスト記載を踏まえ、アユモドキの保護と生息地の保全に関して国際的視点からも納得のいく判断を下すことが求められる。

以上のことを意見書にまとめ、25日付で京都府知事に提出した。京都府には誠意ある対応が求められる。


意見書 2015年11月25日

国際自然保護連合(IUCN)により絶滅危惧種とされたアユモドキに脅威を与えかねない京都スタジアム建設計画は白紙に戻して見直すことを求める

京都府知事 山田啓二殿

(公財)世界自然保護基金ジャパン 会長 徳川恒孝

拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、自然環境の保全にご尽力を賜り誠にありがとうございます。
当公益財団法人は、亀岡市において計画されている京都スタジアム(仮称)の建設によって、国が天然記念物および国内希少野生動植物種として、法的保護の対象としている希少淡水魚アユモドキが近畿地方から絶滅することを危惧し、京都府知事や亀岡市長などに対して、その保護を求める要望書や意見書を度々提出して参りました。しかしながら本来とられるべきアユモドキの生息地保全に向けた効果ある措置が一向に見受けられません。この淡水魚は、京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例によっても、指定希少野生生物に指定されています。

WWFジャパンでは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストにおいて、今月19日に絶滅危惧種(CR)として記載されたことを受けて、国際的に貴重であり、特に最優先して保全の取り組みをすべきアユモドキの保護の為に、下記の通り要求致します。

1)IUCNの絶滅危惧種(CR)に記載されたことは、国際的に憂慮すべき事態であり、現在の予定地での京都スタジアム(仮称)建設計画は白紙に戻して見直すことを求める。

理由:世界で第一線の研究者が集まるIUCNの専門家グループによる判定であり、国際社会が注目していること。自然・環境関係で唯一国連(国際連合)のオブザーバー組織として出席が認められている国際機関の判定であること。(注1)
しかも、最新の情報に基づく、IUCNの今秋のアセスメント(評価)結果である点には、特に、留意すべきである。

2)開発事業予算は、根底から見直すこと。

理由:IUCNの絶滅危惧種が生息する場所に影響を与えうる事業には、世界的に見て、金融機関が融資しない案件に相当すると考えることができる。例えば:International Finance Corporation(国際金融公社)は、途上国の民間セクター支援を行う世界銀行グループの機関であるが、融資先に求める環境配慮事項として「絶滅危惧1A類に影響を及ぼす事業については、代替地がなく、測定可能な形で負の影響が種にも種の存続を支える生態系プロセスにも出ない、長期モニタリングを行うというものでない限り、世界銀行をはじめ、れっきとした機関は投資しないという対応をしている」(注2)
こうした世界的潮流に照らし合わせると、今回、自治体の予算によるといえども、環境配慮が不十分なまま事業を推進することは適切とは言えない。

3)京都府公共事業評価委員会は、府の専門家会議による科学的議論のみならず、国際的水準での科学的な判定が求められる為、内外の研究者によるアユモドキ保護およびその生息地保全のための検討作業を早急に進め、極めて厳格な手続きにより判断すべきである。

理由:IUCNのレッドリストは、掲載種のその後の生息状況、脅威の存在、保全措置等がアップデートされていく。IUCNでは原則5年後に対象種の生息状況を点検することとしており、その時点での亀岡市でのアユモドキの生息状況および生息地の保全に改善が見られるようにすべきである。

注1)IUCN(International Union for Conservation of Nature)
IUCN-国際自然保護連合は、1948年に設立された。およそ、200の政府・機関、1000の非政府機関、44の協力団体が会員となり(2015 年現在)、世界中からの約11,000人の科学者、専門家が、独特の世界規模での協力関係を築いている世界最大の自然保護機関である。IUCNは、地球的・地域的・国家的プログラムの枠組みの中で、国際条約等の会議の支援を通じて、持続可能な社会を実現し、自然保護および生物多様性に関する国レベルの戦略を準備し、実行するため、160カ国以上の人々と協働している。IUCNの約1,000人のスタッフが、およそ60の国々に地域事務所・国事務所で活動している。本部は、スイスのグランにある。また、IUCNは、自然・環境関係で唯一国連のオブザーバー組織として出席が認められている。

注2)International Finance Corporation(国際金融公社)http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/Multilingual_Ext_Content/IFC_External_Corporate_Site/IFC_Home_Japan/
 融資先に求める環境配慮事項、下記URLの6p目(p.4 Critical Habitat)。
http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/bff0a28049a790d6b835faa8c6a8312a/PS6_English_2012.pdf?MOD=AJPERES

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