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WWFの活動

活動トピック

地球温暖化が進むとどうなる?

温暖化が進むと、気温が上昇するだけでなく地球全体の気候が大きく変化します。既に世界各地では、そのさまざまな影響が現れ始めており、自然環境や人の暮らしにも重大な問題を引き起こしています。こうした問題は、温暖化への対策を十分に行なわない場合、さらに深刻化し、地球規模の深刻な被害をもたらす危険性が指摘されています。(出典:IPCC 第5次評価報告書)

温度上昇がもたらすさまざまな変化

地球の平均気温が変化することにより、さまざまな変化や影響が生じることが懸念されています。

特に、このままの経済活動を続けた場合には、100年後に4度前後の気温上昇が予測されており、その結果として、取り返しのつかない影響が予測されます。

気温上昇をいかに抑えるか。
現在の国連の国際交渉は、平均気温の上昇を「2度未満」に抑えることをめざして、行なわれています。

この「2度未満」とは、産業革命の前と比べた気温の上昇幅のことで、それ以内に抑えることができれば、人類は温暖化がもたらすさまざまな影響と、なんとか共存できるレベルと考えられています。

国際社会が目指すこの目標は、WWFをはじめとする世界の市民社会や欧州連合、それに温暖化の影響にさらされている小島嶼国などが、2003年ごろから提唱してきたもので、2008年にようやく国連会議で世界各国によって合意され、2010年の「カンクン合意」という文書の中で明記されました。

ただし、産業革命前と比べて気温上昇を2度未満に抑えることができたとしても、ある程度の影響を避けることは、もはやできません。

このため、温暖化の進行を食い止めるために温室効果ガス(CO2など)の排出量を減少させていくと同時に、すでに生じている悪影響への備え(適応)も、行なう必要があると指摘されています。

WMO(世界気象機関)の呼びかけで、各国の天気キャスターが作成した2050年の9月の未来天気予報

「カンクン合意」が交わされた、メキシコでの国連気候変動会議(COP16)

気温上昇で表面化する8つのリスク

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書は、このまま気温が上昇を続けた場合のリスクを、大きく次のように示しています。

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止
  • 熱波による死亡や疾病
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  • 水資源不足と農業生産減少
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失

そして、これらのリスクは、温度の上昇の度合いによって、さまざまな影響を引き起こす可能性があると指摘されています。

A:暑熱や洪水など異常気象による被害が増加
B: サンゴ礁や北極の海氷などのシステムに高いリスク
マラリアなど熱帯の感染症の拡大
C:作物の生産高が地域的に減少する
D:利用可能な水が減少する
E: 広い範囲で生物多様性の損失が起きる
F: 大規模に氷床に消失し海面水位が上昇
G: 多くの種の絶滅リスク、世界の食糧生産が危険にさらされるリスク

そのほか、21世紀中の地球温暖化は、極端な異常気象や海面上昇などの長期的な影響の両方によって、大規模な人々の移住をよぎなくさせると予測されています。

これは、特に温暖化の影響に弱い途上国において、強く懸念されている問題です。

こうした、すでに貧困や飢餓に苦しむ地域に、さらに温暖化の被害が加わることは、内戦や武装勢力などの間で生じる暴力的な紛争のリスクを増加させる可能性もあります。

また、温暖化が多くの国の重要なインフラや領土に及ぼす影響は、国家安全保障問題に発展するおそれがあります。

このままの気温上昇が続くならば、温暖化は国の安全保障にまで関わる問題であるとIPCCは報告しているのです。

※ 1986~2005年の世界の平均気温を基準とする。影響は、気温変化の速度や今後の対策の内容により異なる。(IPCC AR5 WG2 SPMを基に作成)

あまりに急!地球温暖化の真の脅威

過去約100万年の間に、地球上には複数回の氷河期が存在し、寒冷な期間と、その間の温暖な期間(間氷期と呼ばれる)が繰り返されてきました。

IPCCの最新の知見でも、最後の氷河期から産業革命前にかけて、約3~8度の平均気温の変化があったとされています。

しかし、この間に生じた気温変化は、「急激な気候変動」と呼ばれる時期の例外を除けば、約10万年という自然のサイクルの中で起きてきた自然現象です。

それに比べ、人類による現在の地球温暖化による気温上昇は、とても短期間で起きているため、多くの野生生物が環境の変化についていけず、減少・絶滅するおそれが非常に高いとみられています。

温室効果ガスの排出量がこのまま増え続ければ、地球の自然環境は大きく損なわれることになりかねません。

それは、地球が長い時間をかけて育んできた環境を、人類がわずかな期間で壊してしまうということであり、何としても防がなくてはならないことです。

多くの野生生物や未来の人々への影響をできる限り抑えるためには、「今すぐ」温室効果ガスを減らす取り組みを始めることが必要なのです。

水の問題

海面が上昇する

地球温暖化によって海水が膨張し、過去100年で世界の平均海水面は19センチ上昇しました。南太平洋の島国では浸水が進み、海岸線が内陸へ入り込んでいます。国によっては、国土全体が海に沈んでしまう危険も増大しています。

暮らしのための水がなくなる

たくさんの人々が、生活するための水を得にくくなります。特に、乾燥した地域に住む人々や、氷河や雪に生活用水を頼っている人々は、その被害を受けやすくなります。氷河や雪解け水から生活するための水を得ている人は、世界の人口の6分の1を占めます。

洪水が起きる

山岳地域では、氷河が溶けることによって氷河湖ができ、それが決壊することで、大規模な洪水が起こりやすくなります。また、これらの山岳地帯は、世界の大河川の源流にあたるため、氷がなくなると、その河川の流域全体で水不足が起きるおそれがあります。

災害が増える

嵐や大雨などの異常気象が増えるため、沿岸地域では洪水や浸水の水害がひどくなります。特に人口が集中する都市域では、極端な降水や内水洪水、沿岸洪水、地滑り、大気汚染、干ばつ及び水不足が、人々や、資産、経済、および生態的なリスクをもたらすでしょう。

自然への影響

生きものたちが消えてゆく

IUCN(国際自然保護連合:International Union for Conservation of Nature and National Resources)の2015年版「レッドリスト(絶滅のおそれのある種のリスト)」によると、地球温暖化が原因の一つとなって絶滅の危機に瀕している 野生生物は、ホッキョクグマなどをはじめ、2,475種にのぼります。

生態系が変化する

生育に適した気温や降水量のある地域に育つ植物は、気温や降水量が変化すると、生育地域を変えざるを得なくなります。中には、気候の変化に適応でき ず、絶滅する植物も出てくるかもしれません。また、それに伴い、植物に依存して生きる動物も、生息域を変えなくてはならなくなり、変化に対応できない種が 減少・絶滅する可能性があります。

海の生態系にも影響が

気温と同様に生じる海水温の上昇は、海のさまざまな生物にも影響を及ぼします。特にサンゴは水温の変化に弱く、地域的に死滅する可能性が指摘されています。また、二酸化炭素が海洋に吸収されることで、海水の酸性化が進み、植物プランクトン、動物プランクトン、サンゴ、貝類や甲殻類など、海洋生態系の基盤を担う多くの生物がその打撃を受けると予想されています。これらは、さらに多くの海洋生物の成長や繁殖に影響を及ぼし、海洋全体の生態系に大きな変化が起きる怖れがあります。

森林火災が増える

乾燥化が進む地域では森林火災が増え、野生生物の生息地が広く失われるおそれがあります。

湿地の自然がなくなる

主に海面の水位が上昇することにより、沿岸部を中心とした地域に広がる湿原や干潟で、塩分濃度の上昇や水没といった被害が出ると考えられています。この結果、世界各地の湿地環境が、大幅に減少するとみられています。

これまでにないスピードで変化していく気候、多発する異常気象が引き起こす環境の変化は、ホッキョクグマをはじめ、さまざまな野生生物を、絶滅の淵へ追い込んでいきます。野生の生きものたちの危機は、地球上のあらゆる生き物を支える自然の崩壊へつながります。

暮らしへの被害

農業への打撃

気温や雨の降り方が変わると、農作物の種類やその生産方法を変える必要がでてきます。特に経済力の無い小さな規模の農家はこれらの変化に対応するのが難しいため、生産性が下がる可能性があります。乾燥地域においては、土壌水分が減少することで、干ばつに見舞われる農地が増加する可能性が高いとされています。

病気や飢餓が広がる

食料の生産性が下がると、病気にかかる人や、飢餓状態に陥る地域が増える可能性があります。特に食料の生産性が下がるアフリカ地域で影響がひどくなると予想されます。また、熱帯などの伝染病を媒介する生物の分布域が変わることで、免疫をもたない人々に病気が広がり、被害が拡大するおそれがあります。

異常気象が襲ってくる

異常気象による熱波・洪水・旱魃・森林火災などの自然災害が頻繁に起こり、被害を受ける人が増えると考えられています。自然災害の規模も大きくなり、被害が拡大すると予測されています。

地球温暖化の目撃者

地球温暖化による影響は、すでに世界各地で現れ始めています。その被害の多くは、温暖化問題にはほとんど責任の無い、貧しい発展途上国の人々を襲っています。WWFはこれまで、温暖化に苦しむ人たちの声を、各地の現場からあつめ、世界に向けて発信するプロジェクト「地球温暖化の目撃者」を展開し、その影響の事例を収集する取り組みを行ないました。農業、漁業、観光業、また、日々の暮らしに至るまで、さまざまな面に気候変動が及ぼす影響が記録されています。

「適応」に直ちに取り組むことの必要性

これらの温暖化による悪影響は、産業革命前に比べて気温上昇を2度未満に抑えることができたとしても、ある程度の影響はすでに避けられません。

IPCCの第5次評価報告書は、温暖化により引き起こされる現象に、対応する手段も明記しました。これを「適応」と言います。

異常気象や食糧の生産が落ちるといった温暖化の影響は、適応の手段をとっていくことによってかなり軽減されることがわかっています。

温暖化は、原因である温室効果ガスの排出量を削減する努力だけではなく、影響に適応する準備も同時に行っていかなければならないところまで来ています。

あなたの支援で、できること。たとえば… 地球温暖化を防ぐ WWF会員が25人集まれば、WWFの専門家チームが国際会議の場へ出向き、各国の代表に働きかけることができます。 「あなたの支援でできること」を見る