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WWFの活動

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「日本のエコロジカル・フットプリント報告書2012」を発表

2012年12月10日、WWFジャパンは、グローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)と共同作成した「日本のエコロジカル・フットプリント報告書2012(Japan Ecological Footprint Report 2012)」を発表しました。この報告では特に「食」を中心に分析を行ない、世界全体が日本と同じ水準の食生活をした場合、地球1.6個分の資源が必要となることなどを指摘しました。

日本の消費の現状を見つめる

地球環境をめぐるさまざまな問題の背景にある、大きな要因の一つに、人間活動によるさまざまな資源の消費があります。
木材やシーフードなど、陸海に産する資源の過剰な利用や、石油や石炭の消費などは、地球が持つ生産力自体を減少させているほか、地球温暖化を促進するなど、環境に大きな負荷をかける原因になっています。
エコロジカル・フットプリントとは、この人間の需要と、地球の生態系の再生能力のバランスをわかりやすく説明する持続可能性評価指標で、日本の「環境基本計画」でも参考指標の一つとなっています。
WWFではこのエコロジカル・フットプリントについて、地球全体のレポートもまとめていますが、今回発表したものは、国別報告の日本版となります。今回は、日本全国のほか特徴的な3都県の傾向も検討。地域による相違などが見られるかどうかも検証しました。

 

報告書で特筆すべき点は、以下の通りです。

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  1. 日本の国民1人当たりエコロジカル・フットプリントは、G7の中では最低。
    それでも、世界平均の1.55倍に相当する。
  2. フットプリントのうち最大の幅を占めるのは、二酸化炭素の排出(これを吸収に必要な土地面積として換算)で、64%を占める
  3. 需要別でみると、すべてのエコロジカル・フットプリントの66%を家庭での消費が占めており、
    さらにその約20%が食料にかかわるフットプリントである
  4. この日本の食生活を支える生物生産力は、海外に75%依存している。
    海外の政策に影響を受けやすく、リスクを抱えている。
    また、日本人の食フットプリントは、水産物の割合が高い
  5. 日本は1人当たりの供給カロリーが、栄養不良が平均5%以下の国の中で最も低く、適量といえる。
    しかし、世界の人々が日本と同様の食生活をした場合、エコロジカル・フットプリントが示す地球の資源は、1.64個分必要になるため、持続可能とはいえない

改善の可能性

報告書は、こうした課題点を示すと同時に、日本の長所を活かした改善の可能性についても指摘しています。
たとえば、大きな課題である「食フットプリント」については、食品廃棄を無くせば、25%削減ができること。
各地方自治体の環境政策のなかにエコロジカル・フットプリントを指標として取り入れ、ることで、それぞれの地域に合った、効果的な対策が可能になること。

日本の食料消費が海外の生物生産力に大きく依存していることから、海外の自然資源や政策の状況をよく把握し、その保全への貢献を視野に入れながら、適量とされる現在の供給カロリーを維持するための施策を推進すること。

また、最大の負担になっているエネルギーについては、WWFジャパンが2011年11月に提案した「脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案」の内容などを参考にしながら、2050年までに再生エネルギー100%をめざすことが、持続可能性を効果的に追及する手段となります。

インタビュー:「日本のエコロジカル・ フットプリント」について

エコロジカル・フットプリント概念を開発した、ウィリアム・E・リース教授およびマティス・ワケナゲル博士のインタビュー。「日本のエコロジカル・フットプリント」について、また日本人への応援メッセージ。

GDPにも代わる指標を

現在の日本は、フットプリントを下げつつも、高度に健康で文化的な生活を維持できる、可能性を十分に持っています。それを実現することは、これからの世界の見本となる社会を築くことであり、厳しくもやりがいのある未来に向かっていく、新しい挑戦でもあります。

このために、さまざまな立場にある多くの人々が議論をすすめ、解決策を実施してゆくことが望まれます。
またこれまで、国の豊かさはGDP(国内総生産)を指標とするのが一般的でしたが、持続可能であることは、必ずしもこの数値の上昇には必ずしも一致しない場合があります。

WWFはこれからの時代、人の暮らしの豊かさを示す一つの指標として、エコロジカル・フットプリントを、また人の暮らしの質を問うHDI(人間開発指数)を考慮し、持続可能性を追求してゆかねばならないと考えています。

 

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