革新的エネルギー・環境戦略決定に関する意見書


2012年9月7日 意見書

エネルギー・環境会議 御中

内閣総理大臣 野田佳彦 殿
国家戦略担当大臣 兼 内閣府特命担当大臣(経済財政政策)古川元久 殿
経済産業大臣 枝野幸男 殿
環境大臣 細野豪志 殿
外務大臣 玄葉光一郎 殿
文部科学大臣 平野博文 殿
農林水産大臣 郡司彰 殿
国土交通大臣 羽田雄一郎 殿
内閣府副大臣(国家戦略担当))石田勝之 殿
革新的エネルギー・環境戦略決定に関する意見書

公益財団法人 WWF(世界自然保護基金)ジャパン
会長 徳川恒孝

拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

私どもWWFは、約100カ国で活動をしている環境保全団体です。WWFジャパンは、そのネットワークの一員として、地球の自然環境の悪化を食い止め、人類が自然と調和して生きられる未来を築く使命を掲げて活動を展開しております。

この度は、エネルギー・環境会議における決定が、来週10日にも下されるとの報道を受けて、本意見書を送付させて頂きます。

「少なくとも過半の国民は、年齢や性別での違いはあるにせよ、原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有している」との国民的議論の検証会合の結論にもあるように、国民が、原発を無くす方向性での政府決定を望んでいることはあきらかです。

他方で、先日終了したバンコクでの国連気候変動会議においても議論の焦点となったのは、世界的な地球温暖化対策において、今、いかにして各国の温室効果ガス排出量の削減水準を、危険な温暖化を抑えられるレベルにまで引き上げていけるかです。

震災および原発事故以来1年以上の議論を受けて出されるエネルギー・環境会議の結果としては、そうした民意および国際的な流れを受けとめるものでなければなりません。
WWFジャパンは、今回の決定には、少なくとも以下の事項が含まれるべきと考えております。

  • 気候変動に関する温室効果ガス排出量削減目標については、現行の「2020年までに1990年比25%削減する」という目標を極力維持し、少なくとも国内で2020年までに1990年比15%以上の削減を維持する水準とすること
  • 省エネルギーについて、2030年までに2010年比で最終エネルギー消費を30%以上削減することを目標とすること
  • 自然エネルギー普及については、2030年までに最低でも電力供給の35%以上を目標とすること。また、そのために必要な電力システム改革を進め、熱・燃料に関する目標も今後速やかに決めていくこと。
  • 化石燃料の割合については、石炭・石油火力発電の割合を現在の「追加対策後」案よりもさらに天然ガスへシフトすること。また、電力以外の分野においても同様の措置をとること。
  • 原発については、
  1. 客観的な基準を設け、特に安全性の観点からリスクが高いと判断されたものは即時に停止すること、
  2. 新規の原発は(建設中も含めて)増設しないこと、
  3. その他のものは原則30年を最長として廃炉にしていくこと。

そして、核燃料サイクルは中止し、使用済み核燃料は再処理にはこれ以上回さないこと。

以上のようなエネルギー社会は、決して不可能ではありません。WWFジャパンでは、『脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案』という形で、その具体的な姿も提示させて頂いております。以上の諸点をご考慮頂き、日本が、持続可能でかつ安全・安心なエネルギー社会を創り出すに足る決定を出していただくことを、切にお願い申し上げます。

敬具

 

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参考

WWF『脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案』

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