世界の湿地を守る「ラムサール条約」会議はじまる


2012年7月6日から、ヨーロッパの大河ドナウ川の河口に位置するルーマニアのブカレストで、「ラムサール条約」の第11回締約国会議(COP11)が始まりました。この条約は、湿地など水辺の自然(ウェットランド)の保全を目的とした国際条約で、162カ国が加盟しています。8日間におよぶ締約国会議では、湿地の持続的利用の現状や条約履行状況を評価・点検し、締約国・関係機関・事務局が、次のCOPまでの今後3年間で取り組む諸課題について、意見を交わします。

■現地レポート

持続可能なツーリズムと湿地の保全

ラムサール条約は、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、世界の湖沼や河川の流域、湿原や干潟、サンゴ礁など、淡水の流域環境や浅い海の自然(ウェットランド)を保全することを目的とした国際条約です。

現在の締約国数は162か国。締約国会議(COP)は、3年に一度開催されており、現在までにこの条約に登録された保全湿地の数は、世界におよそ2,000カ所にのぼります。

今回の会議「COP11」のスローガンは、「Wetlands: home and destination=「湿地:わたしたちの故郷であり、そして目的地でもある場所(※国際湿地保全連合の訳による)」。特に「湿地、ツーリズム、レクリエーション」に焦点があてられます。

締約国と常設委員会から提出され、採択に向けて議論される決議案は、合計21案です。会議期間中には、これら決議案が議論される本会議に加えて、42のサイドイベント、51団体によるブース展示4か所の地域会合(ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカ)がとり行なわれます。

会議の参加者は?

今回のCOP11には、150以上の締約国からの政府代表団、1000名以上が参加することになっており、日本からは環境省、農林水産省、外務省が政府代表団として出席。
新たに国内9カ所の湿地を、条約に登録することにしています。

また、ラムサール条約のCOPには、こうした締約国の政府代表団のほかにも、オブザーバーの参加が認められているのが特徴です。

今回も新たに登録湿地が認定されることになっている地方自治体の関係者や、WWFをはじめとするたくさんのNGOがオブザーバーとして参加しています。

WWFからは、WWFインターナショナルの事務局長ジム・リープをはじめとして、13の国・地域から38名のスタッフが参加します。WWFジャパンからも、海洋グループのスタッフが、東日本大震災での復興支援の取り組みと、南西諸島と黄海エコリージョンでの湿地保全活動を、ブース展示を通じて紹介します。

WWFが注目する決議案は?

WWFが現時点で関心を持っている決議案には以下のものがあります。このうち、決議案20は、スイス政府が提案者となっていますが、WWFインターナショナルが草案作成に大きく関わっています。

【決議番号】
【COP11 DR2】財政、予算に関する事項
【COP11 DR6】多国間環境協定、その他の機構による協働、相乗効果
【COP11 DR7】ツーリズムと湿地
【COP11 DR9】湿地消失の回避、緩和、代償のための統合的枠組み
【COP11  DR20】湿地がもたらす人々や自然への利益を確保するための政府、企業による責任投資の促進

7月13日まで、日本、WWFの取り組みを中心に、会議の様子をルーマニアより報告してゆきます。

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COP11のロゴマーク

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ルーマニアの首都ブカレストのCOP11の会場

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現地レポート

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