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WWFの活動

琵琶湖の環境問題

琵琶湖は、湿地保全のための国際条約である「ラムサール条約」にも登録された、国際的な保全水域です。しかし、環境の悪化は琵琶湖でも大きな問題になっています。

水環境の危機

WWFは現在、世界的な水環境の危機を訴え、その保全に力を入れています。WWFは地球環境の変化をまとめた「生きている地球レポート」の中で、淡水生態系の豊かさが、過去 30 年の間に、3割も悪化していることを発表しました。

この淡水生態系の劣化は、日本国内でも起きています。メダカのような一昔前までは当たり前にいた野生生物が、今では希少になりつつあることも、その一端をうかがわせるものといえるでしょう。

琵琶湖は、湿地保全のための国際条約である「ラムサール条約」にも登録された、国際的な保全水域です。しかし、環境の悪化は琵琶湖でも大きな問題になっています。琵琶湖の場合、問題の原因が単なる開発や汚染だけにとどまらず、さまざまな要因が複雑にからみあっています。

周辺環境の変化

1960年代、琵琶湖では沿岸域の急激な開発に伴い、水質の悪化が進みました。1970年代以降、環境の悪化に対する危機意識や、改善を求める住民の強い声、そして厳しい水質改善策が行なわれた結果、現在では、琵琶湖の水質は回復の兆しを見せています。

しかし、湖自体の水質は改善しているものの、その周辺にまで目を向けてみると、湖に流れ込む水の源である湧水などに、あたりまえに生息していた、タナゴやハリヨといった魚たちが、急速に姿を消しています。また、湖でも固有種であり特産品とされてきたニゴロブナやモロコといった魚たちの漁獲量が激減してしまいました。

湖の自然環境の状態を示すのは、必ずしも水質だけではありません。
過去 50年の間に、大幅に減少した琵琶湖全体の漁獲量は、琵琶湖の環境が変化してきたことを物語る一つのシグナルといえます。

琵琶湖における環境変化の大きな例は、湖周辺にあった内湖やヨシ原、水田などの減少、または変化です。

琵琶湖沿岸に 40近く見られた内湖は、1940年代以降、その6割が干拓などによって消失。 2900ヘクタールあった内湖の総面積は、430ヘクタールあまりに減少しました。また、ヨシ原の面積も、1950年代以降半分以下に減少。水田も面積を減らす一方で、大規模化し、生物が豊かな土の水路や畦を持つ水田は少なくなりました。

 これらのことが、水田や河川、水路、内湖など、周辺の水環境と琵琶湖の双方を利用して暮らしてきた、多くの魚類の減少を招いた大きな原因となったことは、十分に考えられます。

湖と周辺の水環境のつながり

A:湖面
B:湖と内湖をつなぐ水路
C:内湖と周辺のヨシ原
D:水田と湖への水路

外来魚による影響

近年日本の各地に生息域を広げつつある、ブルーギルやブラックバスなどの「外来魚」は、琵琶湖でも大きな問題を引き起こしています。

ルアーフィッシングの獲物として喜ばれるブラックバスは、5センチほどになると、他の魚の稚魚を襲って食べるようになります。そのため、ブラックバスがもともといなかった川や湖に持ち込まれると、その水系に生息していた水生昆虫や魚類は、大きな打撃を受けることになります。

日本以外の国でもこのブラックバスは深刻な問題を引き起こしており、IUCN(国際自然保護連合)もこのブラックバスを「世界の侵害的外来種ワースト 100 」に選んでいます。

琵琶湖のブラックバス (C)WWF Japan

1920 年代に日本に持ち込まれた北米産の魚ブラックバスが、琵琶湖で確認されるようになったのは、 1970 年代のことでした。そして、 70 年代の後半には、早くもブラックバスによる漁業への被害が確認されました。1984 年以降、駆除の試みが続けられてきましたが、問題は今も解決していません。また、個体数では圧倒的にブラックバスよりも多いと見られる雑食性のブルーギルも、同様に問題になっています。

滋賀県では 2002 年 10 月、「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」を公布し、その中で、琵琶湖で行なわれる釣りなどのレジャー活動を通して捕獲された外来魚(ブルーギル、オオクチバス)を琵琶湖に再放流すること禁止しました。

ブラックバス(上)とブルーギル(下)
(C)WWF Japan

しかし、湖全域にまでその生息域を拡大してしまったこれらの外来魚を排除するのは、容易なことではありません。 外来魚はただ駆除するだけでなく、放流を厳しく規制し、分布域をこれ以上広げないようにすることが重要です。

何より、琵琶湖における外来種の問題は、開発などによる自然環境の破壊に、さらなる打撃を与えるものです。外来魚の生息の拡大を防ぐには、水田や内湖など、在来種の魚類の生息環境の保全を含めた活動が必要とされているのです。

外来魚による影響

琵琶湖周辺の環境変化は、多くの野生生物だけでなく、周辺地域の文化にも重大な影響を与えています。

数多くの歴史の舞台となってきた琵琶湖の周辺には、生きものと共に暮らし続けてきた人の姿がありました。その中で人々は自然を利用し、改変しながらも、琵琶湖の自然の一部となり、水田や水路などを造ることで、生き物のつながりをより多様で豊かなものにしてきたのです。
このつながりこそ、琵琶湖の原風景であり、私たちが未来に向けて目指すべき、人と自然の共生を実現した一つの形といえるでしょう。

用水路の整備や湖岸の護岸整備は、利便性と引き換えに、昔から行われていた「おかずとり」など水辺の遊びの機会を減らし、原風景たる自然の景観を大きく変えてしまいました。
そして外来種の増加と在来種の減少は、ニゴロブナを使って作る鮒寿司のような、伝統的な食文化にも影響を及ぼそうとしています。

WWFはこの地域の自然環境と同時に、その中で育まれてきた「遊びや文化」が失われていくことも、環境問題であると考えています。そして、この問題を解決してゆかなければ、本当の意味での「持続的な社会」は実現できません。人と水をめぐる自然のかかわりを問い直すことが、今必要とされています。

2009/9/14

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