細谷和海

希少種アユモドキの保全をめぐって 京都府職員の方が来局


本日、京都府環境部の皆さんがご来局くださいました。
この部局は、京都府の亀岡市に生息する国際的な希少魚類で京都府の希少種条例の指定となっているアユモドキの保全をめぐり、私たちが久しくやり取りをしてきた部局です。
きっかけは、その貴重な生息域の一つで、2013年に「京都スタジアム(仮称)」の建設計画が持ち上がったことでした。

過去にもお伝えしてきたように、この問題については私たちも意見書や要望書を多く提出。
最初は対立もありましたが、地元の方々の理解や、専門家の厳しい指摘、また府や市の努力により、その後、建設予定地は変更されました。

しかし、計画自体は隣接する場所で行なわれていることから、引き続き保全に向けた監視と予防策が必要です。

アユモドキ

亀岡市のアユモドキの生息地。アユモドキは日本の固有種で、昔は日本各地の水田環境に分布していましたが、現在の生息域は京都府と岡山県にある3つの地域のみ。国際的にも絶滅が懸念されています。

今日は環境部自然環境保全課の新任の課長の方が、ご挨拶に来てくださったのですが、場はすぐにアユモドキ保全のお話に。
同席くださった日本自然保護協会、IUCN日本委員会、CIジャパン、全国ブラックバス防除市民ネットワークの皆さんともども、現地の状況や課題について情報を交換しました。

環境部の方からは、まず昨年着工した京都スタジアム(仮称)と、5月の第三者委員会による承認、アユモドキの産卵場所を確保するための設備「ラバーダム」の修繕などの見通しについて。
私たちからは、今後に向け、アユモドキが再び当たり前の魚になることが目標であることを共有しました。

ラバーダム(ファブリダム)。一時的に川の水位を上げて水を溢れさせます。その「氾濫原」がアユモドキの産卵場所になります。

また、農業、特に稲作と密接に関係しているアユモドキが、絶滅に向かわずに人と共存できる未来のグランドデザインを作り、府の農政局や、市、地域の住民を巻き込んでいくことが大事である点などをお話ししました。
府の方からは、これまでの対立の関係から、夢を描いていけるような協力をめざしたい、との言葉も。まだ確かなものにはなっていませんが、一時は厳しかったアユモドキの未来に、一条の光が見え始めています。(自然保護室 草刈)

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自然保護室 国内グループ所属
草刈 秀紀

日本の自然保護にかかわる法制度の改善をめざす取り組みを行なっています。

子どもの頃から動物が好きで、農業者でもないのに農業高校の畜産科に行き、上京して大学時代に多くの自然団体の会員になりました。野生のエルザのゲームワーデンにあこがれ、32年前に職員になりました。最近は、永田町を徘徊しています。

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