©naturepl.com / Andy Rouse / WWF

【動画あり】今日10月23日は「世界ユキヒョウの日」


アジアの山岳地帯に生息するユキヒョウ。
しなやかな長い尾と、見事な斑紋を散らした白銀の毛皮を持ち、氷雪厳しい高地の生態系に君臨する、ファンの多い野生動物です。

毎年、10月23日は、そんなユキヒョウの保護を訴える国際的な記念日です。

絶滅の恐れのある野生動物ユキヒョウ

ユキヒョウ(Panthera uncia)はIUCN(国際自然保護連合)の『レッドリスト』で、「VU(危急種)」に指定されている、絶滅の恐れの高い種。

分布域はヒマラヤ山脈から中央アジアのアルタイ山脈までと、実に広大ですが、生息密度は極めてひくく、推定個体数も2,710~3,386頭(成獣のみ)で、決して多くありません。

WWFロシアの調査地はロシア、モンゴル、中国、カザフスタンの国境地帯に広がる大山脈群一帯(アルタイ・サヤン・エコリージョン)のロシア領内にある3つの共和国。ここにロシアのユキヒョウの7割が生息していると言われています。

WWFロシアの調査地はロシア、モンゴル、中国、カザフスタンの国境地帯に広がる大山脈群一帯(アルタイ・サヤン・エコリージョン)のロシア領内にある3つの共和国。ここにロシアのユキヒョウの7割が生息していると言われています。
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

危機の大きな原因は、高地にまで開発の波が押し寄せ、生息環境が放牧地などに転換されてしまっていること。

それに伴って、ユキヒョウが家畜を襲うことが増え、害獣としての駆除されることなどです。

さらに近年、何よりも大きな脅威として懸念されているのが、地球温暖化による高山や高地の環境の変化。
地域的にも限られたこうした自然に、高度に適応したユキヒョウは、この環境が失われたら、どこにも移動することができません。

生息環境の減少、変化は、そのまま、ユキヒョウの絶滅を意味するのです。

私たちの生活も、すでに地球温暖化の影響を受けています
© Global Warming Images / WWF

私たちの生活も、すでに地球温暖化の影響を受けています

ユキヒョウの保全を考える1日に!

ユキヒョウの推定個体数は、現在は最大で約3,300頭とされていますが、この数字、数年前までは最大で6,000~7,000頭とされていました。

「そんなに急に減ってしまったの!?」と、思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

この数字の変化は、主に調査の手法や範囲が向上し、より詳しい情報が手に入るようになったためなのです。

ユキヒョウは18世紀からその存在が知られていたものの、1970年代までは撮影された写真も無く、長く「幻の動物」とされてきました。

ですが現代では、自動撮影が可能なデジタルカメラや、GPS発信器などをはじめとする調査器具も進歩し、精度の高い調査ができるようになっています。

© I. Usanov
カメラトラップで撮影されたユキヒョウ

カメラトラップで撮影されたユキヒョウ

それでも、ユキヒョウのすみかは、最高で5,800mにもなる、その多くが厳しくも険しい場所。調査を行なうことは容易ではありません。

専門家の数が足りないフィールドでは、調査員が1人でテント暮らしをしながら、雪山を100km以上歩いて、現場に向かうこともあります。

ユキヒョウは今も減少が続いており、深刻な絶滅の危機が心配されていますが、一方で近年、生息が再確認された場所もあるなど、保全活動は今も一進一退で続いています。

10月23日「世界ユキヒョウの日」は、日本からも海外の厳しいフィールドでの保全活動を応援しつつ、地球温暖化防止のような身近にできる、しかし大切な取り組みについて、ぜひ考え、実践していきましょう。

【動画】消えゆくユキヒョウを守ってください!

【動画】カメラトラップが捉えたユキヒョウの姿(WWF)

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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