インドネシアでサイを守るスタッフに、応援メッセージを届けました


2014年10月よりWWFジャパンがご支援を呼びかけている「幻のサイを絶滅から守ろう!」緊急プロジェクトに対し、皆さまからお寄せいただいた応援メッセージを、同年11月、インドネシアにお届けしました。これは、ボルネオ島東カリマンタンで昨年、20年ぶりに生存が確認されたスマトラサイの保護活動に携わるスタッフを応援するため、日本のサポーターからメッセージを募集し現地に贈るというものです。短い期間の募集にも関わらずたくさんの心温まるメッセージをいただき、心より御礼申し上げます。

「幻のサイ」を絶滅から守るために

世界有数の熱帯林に覆われたボルネオ島は、オランウータンやスマトラゾウ、ウンピョウやマレーグマといった大型の哺乳動物が生息する、地球上でも類稀な豊かさを誇る場所です。

2013年、島のインドネシア領東カリマンタンにおいて、この地域では1990年代に絶滅したと考えられていたスマトラサイ(ボルネオサイ)の生息が20年ぶりに確認され、世界中から注目を集めました。

しかしその一方で、近年アフリカを中心に急増しているサイの角を狙った密猟の手が、この地域に迫る恐れも否定できません。そのためWWFインドネシアは、WWFジャパンの支援のもと、スマトラサイ保護のための取り組みを進めています。

主な活動は、正確な個体数や生息地の把握のための調査、および密猟を防ぐための定期的なパトロール。一口に調査やパトロールといっても、いずれもアクセスが容易ではない深い森の中で、時には1か月近くもの時間をかけて行われるハードなものです。

道なき熱帯林では、森を流れる川が道路の代わりになりますが、乾季の真っただ中に行った調査では、水位が浅いためボートが思うように進まない事態に。

機材や食糧、テントなどを積んだボートを人の手で引っ張るほかない場所や、倒木や岩が行く手を阻む難所の連続で、調査地点にたどり着くまでに実に1週間を要したといいます。

残念ながら、これまでスマトラサイの存在が示唆されているエリアは、国立公園のような国の保護区ではありません。

20年もの間、人目に触れることなくひっそりと暮らしていたこのスマトラサイの生息状況を把握することは容易ではありませんが、こういった調査の地道な積み重ねにより、国レベルの保護計画および法整備に確実につなげていく必要があるのです。

スマトラサイ

奥深い熱帯林での調査やパトロールの様子

寄せられた心温まるご支援の声

WWFジャパンは今回、現場で活躍する現地スタッフへ応援メッセージを贈ることで、日々の奮闘をねぎらうと同時に、彼らの仕事を少しでも多くの方に知ってほしい、と考えました。

メールマガジン読者の皆さまを中心に寄せられたメッセージには、現場で精力的に保護活動に携わるスタッフに向けた、あたたかい言葉がつまっていました。下記にその一部をご紹介します。

「絶滅したかもしれないと思われていたスマトラサイの生息が確認されたと知り、とても嬉しく思います。全ての野生動物が豊かな環境の中で平穏に生きていける世界になるよう、祈っています。」

「森の奥深くの調査は、私が思っていたよりもずっと大変なのですね。過酷な環境下で動物のために力を尽くす皆さんを、心から尊敬します。」

「動物大好きの小学3年生と2歳の息子達と一緒に、熱帯雨林を守るため、動物達を絶滅から守り、この地球で共存していくため、私達には何ができるのか?と、時に自分のあまりの無力さに落ち込んだりしながらも、考え続ける日々です。ボルネオ島で保護活動に取り組み、想像を絶するご苦労と努力を続けておられる現地スタッフの方々に、心からの感謝と賞賛をお送りします。どうぞ、くれぐれもお体を大切になさって、一緒に頑張ってゆきましょう!私達の心は、皆さんと一緒です。」

「皆さまの活動は、体力や根気、忍耐を必要とする大変なものだと思います。大切な地球、そこに生きる動物達のために力をつくす方々を、遠い日本から応援しています。身体に気をつけて頑張ってください。(スタッフをささえている家族の方々にも感謝の気持ちを込めて・・・!)」

「保護活動をしている現地スタッフの方、ほんとうにありがとうございます。私はまだ高校生で行動できることが少ないですが、何か小さなことでも力になっていきたいです!」

また、11月上旬に行われた横浜市立金沢動物園でのイベントにて、ご来場いただいた約150名の子どもたちにサイの絵を描いていただき、森の写真を背景としたボードに貼っていただくことで、保護活動を通して森にサイを増やしていきたい、というメッセージを込めました。

横浜市立金沢動物園でのイベントの様子。たくさんの子どもたちがご参加くださいました。


ボルネオの森にお届けしました!

応援メッセージとサイの森のボードは、ボランティアさんのご協力を得て英語に翻訳された後、2014年11月下旬、現地を訪れたWWFジャパンのスタッフによって届けられました。

総勢10名を超える現地スタッフは、嬉しそうな顔で日本から贈られたボードやメッセージと記念撮影をしたのち、ひとつひとつのメッセージに目を通しながら、それぞれが返事を寄せてくれました。

スマトラサイの足跡の第一発見者であり、現在も森での調査を一手に引き受けるサルジュニは、皆さまから寄せられたメッセージの中に自分の名前を見つけると、とても嬉しそうな表情を浮かべていました。

その日の仕事が終わってから、英語が堪能ではない彼は、ひとつひとつのメッセージを自らパソコンで書き起こし、翻訳ツールを使ってインドネシア語に訳してじっくりと読んでいました。そして、日本の皆さまから寄せられた温かいご支援に心からありがとうと伝えたい、と話してくれました。

活動への励ましに留まらず、自分たちスタッフの健康を気遣ってくれたり、家族のことを思いやってくれる言葉が印象的だった、とのこと。昨年結婚し、春に父親となる予定の彼は、調査のために久しく会えていない家族のことを思い出していたのかもしれません。

彼はまた、「スマトラサイの再発見は、それ自体への喜びだけでなく、この森の素晴らしさを改めて教えてくれ、仕事へのやりがいや日本の皆さまとのつながり、未来への希望などたくさんのものを与えてくれた、私にとっての"Harta Karun"です。」とも話してくれました。"Harta Karun"とは、インドネシア語で、お金では買うことのできないとても価値のあるもの、それを誇りに思い次の世代へ受け継いでいくもの、といったニュアンスです。

そして、「私たちの子どもたちも、また次の子どもたちにもスマトラサイとサイが暮らせる豊かな森を残してほしい」というメッセージを胸に、これからも頑張っていきたいと話してくれました。

サルジュニだけでなく、ひとりひとりのスタッフがそれぞれに皆さまからのメッセージを受け止め、次のような返事を寄せてくれました。

インドネシアのWWF現地事務所にて、寄せられたメッセージボードを眺めるスタッフたち

写真右がサルジュニ、中央が環境教育・広報担当のジミー、左がメッセージをお届けしたWWFジャパン森林担当の橋本。

「大切な自然資源を守り、スマトラサイを守る私たちの取り組みに、たくさんの共感と熱意をお寄せくださった日本の皆さんに、心から感謝します。皆さんからの応援は私たちにとって大きな意味のあるご支援です。この豊かな「ハート・オブ・ボルネオ」に残された数少ないスマトラサイを守るため、熱意を失うことなく、戦い続けます(ダタ/地域ディレクター)」

「日本の皆さん、心のこもったたくさんの応援メッセージをありがとうございます。古くからこの地球に存在し、今なお生きる貴重なスマトラサイを未来の子どもたちに残せるよう、私たちは努力し続けます(ユユン/プロジェクトリーダー)」

「私たちにとって大きな価値のあるご支援を"Arigatou!"たったひとつしかない地球に私たちは生きています。サイを始め、さまざまな野生生物と調和して生きていけるよう、一緒に取り組んでいきましょう(ジミー/環境教育、広報担当)」

「皆さんのメッセージを読んで、私たちの活動を心から応援してくださる方がたくさんいるんだと感激しました。未来によりよい地球を残すために、日本の皆さんと一緒に"GANBATTE"いきます(アメリア/総務担当)」

「私は日本の皆さんを家族や友人のように近しく感じます。私たちの"宝"であるスマトラサイ守る取り組みをこれからも応援してください(アマル/GIS担当)」

「私たちひとりひとりが、この森を守ると同時に上手に使うことができれば、サイが暮らす豊かな森は永遠に保たれます。一緒にこの森を守りましょう(ウィウィット/総務担当)」


ご協力ありがとうございました

皆さまからの温かいお言葉は、現地で日々精力的に活動するスタッフに、大きな喜びと励ましを与えてくださいました。この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

同時に、日本から海を隔てた場所での保護活動はなかなか想像し難いものですが、温かいご支援をくださるサポーターの皆さまに現地の様子をお伝えできるよう、今後も進捗をご報告してまいりますので、引き続きの応援をどうぞよろしくお願いいたします。Terimakasih Banyak!

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