(3)使いすぎのツケはどこへ?
個人消費は既に「使いすぎ」
フットプリントが明らかにした、人類による消費の超過が始まったのは、1980年代のことです。中でも、特に大きく増加してきたのは、エネルギーの供給を支える化石燃料の消費、つまり、二酸化炭素の排出による地球環境への圧力でした。
フットプリントの内訳を見ても分かる通り、農地、牧草地、森林や海洋の利用率が増加してきた割合に比べ、二酸化炭素の排出によるフットプリントは1961年以降、実に11倍以上に増加。現在もその傾向はさほど変わっていません。
さらに、地球が持つ生産力を上回る規模での消費の増加は、無論、個人レベルにおいても同様の結果を見せています。人類一人あたりの計算したフットプリントは、2007年時点で平均2.7グローバル・ヘクタールですが、地球が本来持つ生産力や廃棄物の回収能力を考慮した持続可能なレベルは、一人あたり1.8グローバルヘクタール。
現在の個人の消費は、すでに「使いすぎ」の様相を呈しています。そして、その超過分の多くは、先進国を中心とした国々に偏っています。

アメリカ、中国… 国による消費の偏り
この世界の消費、そして二酸化炭素の排出拡大は、地域や国によって、大きな差があります。
とりわけ、その内訳を大きく占めているのは、アメリカと中国で、この2国だけで地球全体のエコロジカルの20%以上を占めています。
しかし、国民一人当たりで見た場合、この2国には大きな差があることが分かります。地球の全人類の消費生活レベルを、アメリカ人の平均的な消費生活と同じレベルにした場合、地球4.5個分もの生物生産性が必要となります。
一方、全人類の消費パターンを、中国国民の平均的な消費パターンの水準にした場合は、ぎりぎり地球1個分の生産力でまかなうことが出来ます。しかし、中国国民一人当たりの消費の水準は、2年前のデータと比較して3割以上も急増しているため、今後この数字がさらに大きくなる可能性は、きわめて高いといえます。
アメリカや中国は、国土も広く、自国内に高い生産力を持っています。しかし、現在は国の消費が、自国の生産力を上回る形で、つまり、自然資源を赤字の状態で利用しています。これらの国々は、自国内の自然を食いつぶしているのみならず、海外の国々から資源を輸入し、過剰な消費分をまかなうことで、国を成り立たせています。
このような現象は、他の国々でも起きており、このような赤字での生活を送っている各国の国民は、世界人口の4分の3以上を占めるとみられています。
また、残りの4分の1の人々が暮らす国々でも、海や森の自然破壊が深刻化するおそれがあります。これらの国々の多くは、国土に豊かな自然が残り、消費や二酸化炭素の排出が少ない暮らしをしている貧しい国ですが、今後、木材や穀物などの輸出が拡大し、人口が急増することになれば、生物生産量が失われてしまう可能性があるからです。

生物生産力は、世界に均等に存在するわけではなく、アメリカからオーストラリアまでの上位の8カ国で世界全体の半分以上を占めている。
このうち、アメリカ、中国、インドの3カ国については、消費によるフットプリントの総量が、その国全体の生物生産力よりも大きくなっており、いわば「赤字」の状態にある。



