サステナブル(持続可能)な木材の利用について:「木」ってエコなの?

サステナブル(持続可能)な木材の利用について

木材、森のめぐみ

日本人が森を利用して暮らすようになったのは縄文時代からと言われています。

火を起こすため、食料をとるため、道具を作るためと多目的に利用してきたことが数々の遺跡から確認されています。
人間はずっと古の時代から森の恵みを頼りに生活をしてきました。

森の恵みといえば、薬草やキノコ、水や動物などがあげられますが、特に樹木は、生活のさまざまな場面で支えてくれています。

それは、現代においても変わりません。

住宅などの建築物、テーブルやタンスなどの家具、お箸やお椀などの日用品、フライパンやハンマーの柄などの道具、ギターなどの楽器、バットや積み木などの遊具、書物や包装に使う紙類。

そして、あまり目にする機会はありませんが、土木や物流分野では杭や資材を運ぶパレットとしても使われるほか、炭やペレットなどの燃料にも加工されるなど、非常に多くの用途に使われています。

木は、生活のさまざまな場面で支えてくれています

樹種の特性と木材

多くの目的に利用できる木材ですが、どんな木でも良いという訳ではありません。
大きく分けると針葉樹や広葉樹、といった違いがありますが、木は樹種によって材質が堅い・柔らかい、重い・軽い、真っすぐ・曲がっている、強い・弱いなどの特徴があります。
そして、使用目的に求められる特性にベストマッチした樹種が使われ、加工されているのです。
特に日本では建築と紙として多くの木材が消費されています。
建築では木造だけ木材が使われるのではなく、鉄骨造や鉄筋コンクリート造にも使われています。
例えばコンクリートを流し込むときの型枠用に木材が使用されます。
これはコンクリートパネル(コンパネ)と呼ばれる合板の一種です。
合板は丸太を大根のかつら剥きのように剥いて作った薄い板(ベニヤ板)を接着剤で何層にも重ねた板を指します。
接着する際にベニヤ板の繊維の方向を交互にすることによって強度を上げる工夫が施してあります。
合板は他にも壁や床、屋根の下地としても活用されますが、外からは見えないため、一般的にはあまり認識されていません。

コンクリートパネル(コンパネ)

木材はどこからきている?

日本は国土の3分の2を森林が占める森林資源国です。
しかし、木材自給率は低く、約7割を海外から輸入する世界有数の木材輸入国でもあります。
柱や梁などの建造物に使われる材には、真っすぐで、軽くて扱いやすい特性をもつ針葉樹が主に使われています。
そのため、針葉樹が多く自生するカナダやロシア、スウェーデンのような寒い地域から木材を輸入しています。
また、日本は特に世界で最も合板を多く輸入する国です。
その合板に求められる特性は薄くても強度があり、滑らかな表面を持っていること。
こうした特性を兼ね備えているのが、インドネシアやマレーシアなどの熱帯林に生育する広葉樹です。

木材の故郷の森で起きていること

海外から輸入される木材の故郷はどのような森でしょうか?
例えば、ロシアの森にはネコ科最大のシベリアトラ、インドネシアにはアジア唯一の大型類人猿であるオランウータンが生息しているように、日本の森とは異なる風景が見られ、独特な生態系が形成されています。
さらに先住民や地域住民も、こうした森に頼って暮らしており、固有の文化が築き上げられてきました。
しかし、日本を含め海外からの木材需要が増えたことで、過剰な伐採や違法伐採、更には森林を切り拓き農地を造成する土地転換や、道路などのインフラ開発が横行し、森林が減少。
生物多様性の減少や人権侵害などの深刻な環境・社会問題が起きています。

今日、森林破壊を止めるためにできること

どのようにして木材を使っていけばいいの?

海外の森が失われないように木材を利用するためには、どうすればよいのでしょうか。
国産材を使えば良いのでしょうか?それも一つの解決策かもしれません。
しかし、ことはそう単純ではありません。決して多くはありませんが、日本でも違法伐採が報告されており、国産材であっても、問題が指摘されるケースがあるのです。
また今後、国産材の需要が増えれば、国内での違法伐採が増えていく可能性も否定できません。
一方で、海外の木材を使わないようにする、という選択も、必ずしも解決にはなりません。
仮に日本への輸出がなくなったとしても、別の国に輸出先を変えてしまえば、これまでと同じように、現地の森では破壊が続くことになるためです。

私たち個人の消費者にできること

買い物という「選択」

森林破壊は、遠い国で起きている大変なことだけれど、日々の暮らしの中で何ができるのだろう?

そんな疑問を抱かれる方も多いかもしれません。

しかし実は、紙や木材を使っている一人ひとりの消費者こそ、世界の森を守る大きな力を持っています。

何をすればよいのか? 答えは「サステナブル(持続可能)な木材や木材」を選ぶこと、です!

個人の消費者は、誰でも使う木材や紙を「選ぶ」ことができます。

たとえば、FSC®️(Forest Stewardship Council ®️ 森林管理協議会)のような国際的な第三者機関が定めた規格をもとに「これは責任ある森林管理につながる木材です」と認証された木材を選び、優先的に購入すれば、それは世界の森を守る取り組みを応援することになります。

森を形成する樹木は生物ですから、育つ時間を考慮し、伐りすぎないよう注意して利用すれば、森全体の生態系が大きく損なわれることはありません。

逆に、森を全て皆伐するなどして生産された木材や紙製品を選び続ければ、海外の森を破壊することに加担してしまうことになります。

皆さんは、DIYをするときや家具を購入する時、手にする材料がどのような木でできているのか、どんな森からやってきたのか、気にしたことはありますか?

そしてその木材は、どのように伐採され、製品として生産されたのか、考えてみたことはあるでしょうか。

それがサステナブルな形で生産され、加工されたものかどうか、疑問に思ったらぜひ、お店に尋ねてみてください。

実際、日本ではまだまだFSCの認証材を取り扱うお店は多くありません。

しかし、消費者の意識と選択が変われば、少しずつ製品を供給するお店側も変わっていくことに繋がります。

今まで何気なく買っていた製品を「選ぶ」ことで、個人の消費者たちは買い物という日々の行為を通し、環境にやさしい製品や企業を応援し、森を守ることができるのです。

株式会社カインズが販売するFSC合板

株式会社カインズが販売するFSC合板

コンクリートパネル(コンパネ)

FSCの木材で作られた家もあります(エコ建築考房モデルハウス)  

東白川村にあるFSCの認証を受けた森。ここでは森を守りながら木材を生産する取り組みが行なわれています。

東白川村にあるFSCの認証を受けた森。ここでは森を守りながら木材を生産する取り組みが行なわれています。

企業にできること

「調達方針」の策定

多くの消費者に、生産した木材製品や紙製品を届ける企業にも、森を守る大きな力があります。
その力を発揮するには、「適切に管理された森林」で、環境や地域の人々の暮らしに配慮した、サステナブルな木材を調達し、それを原料とした製品の生産に取り組む必要があります。
これまで、一部の企業が安く大量の木材を求めるビジネスを展開してきたことにより、熱帯林の森林破壊や違法伐採が世界的に横行し、企業も批判に晒されることが多くありました。
その後、さまざまな企業が「違法伐採を避ける」、すなわち伐採する国の法律を守って、木材の原料調達に取り組むことが増えてきましたが、現在はまた状況が変わっています。
原産国の法律を仮に守っていたとしても、結果として森林破壊が引き起こされたり、先住民や地域住民の人権に十分な配慮がされていない場合があるためです。
つまり、海外の木材を扱う企業は、法律を守ることはもちろんのこと、それだけでなく、環境や地域の社会に対し、問題がないか確認することが必要とされるようになったのです。
実際、日本でも、適切に管理された森で生産された木材を「選ぶ」消費者は年々増えています。
FSCは、マークを見ない日はないというくらい、紙製品を中心に普及。さらに近年は、世界中の投資家や金融機関も、こうした環境への配慮に力を入れている企業を選んで、融資や投資を行なうようになりました。
木を使った「サステナブルなビジネス」は、これからますます、世界中で求められることになるでしょう。

FSC認知向上 FSCジャパン

もっとも、木材を調達・利用・販売する企業の立場とすれば、扱う製品の原料すべてを、認証を受けた木材に切り替えるのは現実的に困難であったり、時間がかかるかもしれません。
そうした場合はまず、自社の製品が森林破壊を引き起こさないこと、人権に配慮することを明確に掲げた「調達方針」を発表し、社の内外に向けて宣言、約束することが重要です。
そして、いつまでに、どれくらい、こうしたサステナブル調達の取り組みを進めていくのか、明確な目標を明示し、第三者を交えてその評価を行なっていくことが、消費者に、投資家に、世界に選ばれ続けていく理由となっていくでしょう。

【関連情報】

「サステナブル調達」や調達方針についてはこちらをご覧ください。

既に調達方針を策定している企業の関係者で、木材のデューデリジェンスの実施・改善をお考えの方はこちらをご覧ください。

世界の森を守るために

樹木一本をみても、そこには多くの生き物が生息する世界が広がっています。
マレーシアの熱帯林で行なわれたある研究では、一本の樹木から1,705種(12,382匹)ものクモや昆虫が採集されたこともあります。
昆虫などの無脊椎動物のみならず、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、菌類まで、森と木を頼りに生きる命は数多く存在しています。
そうした木々を、人はこれまで自分たちの生活を便利にするために多く伐採し、利用してきました。
そんな人類が、自然と共生できる社会をこれから実現していくために、どのようなことができるのか?
木の利用の在り方の中で見てきた「持続可能」な選択が、その答えの大きなカギを握っています。
その形、やり方は決して一つではありません。
是非、皆さんも周りの方と一緒に考え、できることを行動に移してみてください。
WWFではこの木材の話を、コパンダの絵本でも分かりやすく解説しています。
お子様でも分かる内容になっておりますので、こちらも是非、読んでみてください。

絵本 木ってエコなの?

WWF ジャパン
FSCライセンス番号(FSC-N002174)

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは世界約100か国で活動している
環境保全団体です。

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