©Edward Parker
©Zig Koch / WWF
©Neil Ever Osborne / WWF-US
©Hkun Lat / WWF-Aus
©Nature Development Foundation
©Hkun Lat / WWF - US
©Shutterstock / Gustavo Frazao / WWF
©Neil Ever Osborne / WWF-US

セイコーエプソン × WWF
インターナショナル・コーポレート・
パートナーシップ

世界の森林の保全と
回復に向けた
3年間の
パートナーシップ

世界の森林の保全と回復に向けた
3年間のパートナーシップ

2023年3月、WWFとセイコーエプソン株式会社は、
世界各地の森林の保全と回復に向けた
3年間のインターナショナル・コーポレート・パートナーシップを
開始しました。
このパートナーシップは、
電機精密業界における日本企業としては初の試みです。

インターナショナル・ コーポレート・ パートナーシップとは?

WWFと企業とのパートナーシップは、
共通の環境課題の認識とその解決に向けた目的に基づき、
WWFとパートナー企業の二者間で、国際的な規模で、

  1. 1 持続可能な事業活動の実現
  2. 2 社会への環境コミュニケーション
  3. 3 WWF自然保護プロジェクトへの資金支援

の3分野を含む協働を行うものです。

© Andre Dib / WWF Brazil

© WWF-Australia

© WWF Japan

© WWF Japan

本パートナーシップの締結により、エプソンはいくつかの「森林破壊の最前線(*1)」の現場でWWFが実施する森林保全活動や自然回復のための活動への支援を開始します。また、持続可能な社会の実現をともに目指すため、事業における森林資源(紙)の責任ある利用を推進するほか、今後は淡水生態系の保全やサーキュラー・エコノミー(*2)への貢献活動についても共同で検討を進めていきます。
さらに、エプソンはフォレスト・フォワード(*3)への参加準備を進めており、実現すれば日本企業初となる予定です。

  1. (*1)森林破壊の最前線
    森林が急速に失われ、かつ残された森林もさらなる減少の危機にある場所を意味するもので、2021年1月にWWFが発表したもの。本報告書によれば2004年から2017年の間に世界24カ国の「森林破壊の最前線」で4300万ヘクタール以上の森林が消失した。
    詳しくは WWFジャパン:「森林破壊の最前線」最新報告書を発表
  2. (*2)サーキュラー・エコノミー
    従来型の大量生産・大量廃棄に基づく一方通行のビジネスとは対照的に、製品やサービスを設計する段階から新たな資源の投入や廃棄をできるだけゼロに近づけるようにデザインした上で、限りある資源を循環させながら可能な限り永く使い続け、廃棄物をなくしていく循環型の社会経済システムのこと。
  3. (*3)フォレスト・フォワード
    WWFのフォレスト・フォワードは、企業、地域社会、その他の主要な森林関係者などのステークホルダーと、自然、人、気候のために森林の価値評価、管理、保護、回復のあり方を変革することを目的としたプログラムです。 詳しくは https://www.worldwildlife.org/initiatives/forests-forward

WWFジャパンの実施する 森林保全プロジェクト

東南アジアや南米など、森林減少の現場での
森林生態系の保全や森林減少の要因となっている
農林畜産物の持続可能な生産への転換、
そして消費国としての貢献度の大きい
日本での持続可能な利用の推進などを行なっています。

活動地図
1 メコン地域
トラの生息地の森林を農地拡大や密猟から守る
2 スマトラ島 インドネシア
わずかに残る森林を農地拡大や密猟から守る
3 ボルネオ島 インドネシア
800世帯が環境にやさしいアブラヤシ栽培を実践
4 オーストラリア
「森林破壊の最前線」を脱し、コアラの森がよみがえる
5 ブラジル
70ヘクタールの荒廃した放牧地などに森を回復させる
6 ガーナ
300ヘクタールのカカオ農園でアグロフォレストリー実践
7 日本
農林畜産物を調達する日本企業が森林破壊リスクを軽減する

東南アジア・オセアニア

  • メコン地域

    © KWCI / WWF-Myanmar

    © Hkun Lat - WWF Myanmar

    タイとミャンマー国境付近に広がる山岳地帯には、インドシナトラやアジアゾウ、インドシナヒョウなどの絶滅危惧種が生息していますが、天然ゴムやトウモロコシ、パーム油などのための農地転換が森林減少を引き起こしています。 WWFは、地元の生産者の脱貧困と森林減少ゼロを目指しています。タイ側では、タイ国立公園・野生動物・植物保全局と協働し、保護区内での野生生物のモニタリングや、ドローンなどの最新テクノロジーを使った森林パトロール、森林・自然再生などの活動を続けています。

  • スマトラ島

    © James Morgan / WWF-International

    © WWF Japan

    インドネシアのスマトラ島では、かつて島全体を覆っていた熱帯雨林が、この100年間に急激に失われてきました。とりわけ、減少が著しいのは、島の東部に広がる低地の熱帯雨林で、紙パルプやパーム油を生産するために広く失われ、過去30年間で43%減少。合わせて密猟が追い打ちをかけ、スマトラトラは激減しました。

    そこで、スマトラ島では、残された森をつなぎ、森同士の接続性を高めるため、保護区と保護区の間の地域で森林再生(植林)を行っています。次の世代を担う子供たちが、持続可能性に関する知識や意識を高め、実践していく力をつけるための環境教育を実施しているほか、小規模農家への持続可能な農業のための支援も拡大させてゆきます。

  • ボルネオ島

    © Chris J Ratcliffe / WWF-UK

    © WWF-Indonesia

    かつては手つかずの熱帯林が島を覆い、絶滅が危惧されているオランウータン、ゾウ、サイといった大型の哺乳動物にとっても貴重な生息地となっているインドネシア領ボルネオ島(カリマンタン)の森林も、過去半世紀のうちに急速に破壊され、現在までに50%が消失してしまいました。中でも、西カリマンタン州はボルネオ島で最もアブラヤシ農園が拡大している地域です。特に小規模農家は適切な栽培方法を知らず、経済面でも苦しく、収量をあげるために森を切り拓き農園を拡大してしまっています。そこでWWFは、島でも特に生物多様性が豊富と呼ばれるエリアと重なるメラウィ県にて、持続可能なパーム油生産を実現するための活動を行っています。

  • オーストラリア

    © Andrew Merry / Getty / WWF

    © WWF-Australia

    © WWF-Australia

    © Stuart Blanch/WWF-AUS

    多くの固有種が生息し、世界最古の森林を誇るオーストラリア。しかし、生息地の破壊や気候変動により、絶滅危惧種の数は世界で3番目と多い現状があります。2019-2020年の森林大火災で状況は更に悪化。2022年2月に、コアラは国内レッドリストで絶滅危惧種として登録されました。

    WWFは、森林火災からの回復、火災以前から潜在する根本的な問題の解決を通して、オーストラリアの自然を再生することを目標とした『Regenerate Australia』を2021年7月から始動。WWFのビジョンと共通する団体(大学、NGO、土地所有者、獣医師会、先住民団体など)と協力し、植林や野生動物のモニタリング、保護区の拡大、政策提言、画期的な保全策の開発など多岐にわたる活動を実施しています。

南米・アフリカ

  • ブラジル

    © Gustavo Figueiroa / WWF-Brazil

    © WWF-Sweden / Ola Jennersten

    © Alffoto / WWF-Brazil

    © WWF Japan

    セラード

    「セラード」とは、ブラジル最大の生態系であるアマゾンに次ぐ広さを誇る、草原、湿地、森林など様々な表情を見せる広大なサバンナ地帯です。長く手つかずの未開の地であり、世界の生物種の5%がここに生息しています。しかし、1970年代以降、土壌改良の技術発展により農地開発が進み、今は全体の約50%が放牧地か農耕地に転換されています。更に、草原地帯であるため、比較的早い段階から始まった森林保護の範囲には含まれず、貴重な生態系でありながら、保護区として守られているのは全体の9%未満に留まっています。
    WWFではセラード産の牛肉や大豆を消費する企業に対し、森林だけでなく草原も対象とした森林破壊・土地転換のない原料調達を呼びかけ、新たな開発をゼロにする活動をスタート。また、転換されてしまった土地をもとの自然に戻すため、地元コミュニティと共に、この地域原産のフルーツやナッツを収穫し販売するネットワークを構築し、アグロフォレストリーを通じて人と自然が調和した生態系再生にも取り組んでいます。

  • © David Lawson / WWF-UK

    © Isis Mei Medri / WWF-Brazil

    © Merijn van Leeuwen/
    WWF-Netherlands

    © Jody MacDonald / WWF-US

    アトランティック・フォレスト

    もともと南米大陸の東海岸に3,000km以上にわたって広がり、生息する生物の40%が固有種であったこの地域は、ヨーロッパからの入植者の到来以来、人間が住むための開発が続けられてきました。木材、パルプ・紙、サトウキビ、牛、大豆などさまざまな林産物の生産が拡大し、残された森林は小さく点在するのみとなっています。
    この地域では、2009年に制定された「アトランティック・フォレスト再生協定」により、360以上の団体からなる一つの大きな運動が生まれ、全体を見渡した計画に基づき体系的に森林再生が行われています。WWFは、この設立メンバーの一員として、土地所有者や協力企業に呼びかけ、2050年までに1500万ヘクタールの森林を再生することを目標に取り組んでいます。

  • ガーナ

    © Nature Development Foundation

    © Nature Development Foundation

    カカオの主要生産国のガーナは、長年、カカオ農家の労働環境問題や貧困などの社会問題が課題とされてきました。一方、近年ではカカオの無秩序な開拓による環境問題も重要な問題として認識されています。 ガーナ政府は、民間企業や市民社会と共に、カカオ栽培による環境への悪影響や児童労働などの社会問題を軽減するための「カカオ・フォレスト・イニシアティブ」という取り組みを開始。 WWFジャパンでも2022年よりプロジェクトを開始し、300ヘクタールのカカオ農園で300人の農家に植栽技術のトレーニングや在来種の苗の提供を通じ、アグロフォレストリーを普及させることを目指しています。
    具体的には、カカオ農家に対するアグロフォレストリー普及のために、苗木の提供や適切なアグロフォレストリー実践のための技術研修を支援しています。

  • 日本

    © James Morgan / WWF

    © Jürgen Freund / WWF

    © WWF / Carolyn Lim

    森林破壊の原因となる根本的な問題として、日本も含む先進国からの森林一次産品の需要があります。先進国の調達をサステナブルにしなければ、森林破壊が起きている現場の環境も改善は難しいでしょう。
    そこでWWFジャパンでは、日本国内において、森林破壊のないサプライチェーン構築を目指して、主に企業を対象としたセミナー実施や個別企業への働きかけ、情報発信や普及啓発活動、認証制度の利用促進など幅広い活動を行っています。

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プロジェクト関連情報

2023/11/16

【セイコーエプソン × WWF】 WWFブラジルのスタッフがエプソンスクエア丸の内を訪問

2023年10月13日、来日していたWWFブラジルの担当者2名が東京のエプソンスクエア丸の内を訪問。エプソンにもご支援をいただいている、ブラジルのアトランティック・フォレスト(大西洋沿岸林)での森林保全の取り組みについて、同社の小川社長にご説明し、意見交換を行いました。