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企業に聞く
環境サステナ就活の
本音

「面接で環境アクションについて質問して大丈夫?」
「環境に関心がある学生って、どう見られている?」
そんな疑問に、企業の人事が率直に答えます。

座談会出席者

採用担当者のホンネ座談会環境への想いを、
キャリアにつなげるには?

WWFジャパンが実施した調査(※)では、「環境」を企業選びの大切な軸として就活をしている学生の約8割が、その思いとは裏腹に、どのように企業の環境の取り組みを調べ、評価すればよいかわからないと感じていることが判明しました。

また、「環境に関心があることを企業はどう受け止めるのか」「本気で環境に取り組んでいる企業はどう見極めればいいのか」といった不安や疑問の声も多く寄せられています。

そこで今回は、環境・サステナビリティ領域で先進的な取り組みを進める企業の採用担当のみなさまにお集まりいただき、「ホンネ座談会」を実施しました。

環境への関心は採用でどのように評価されるのか。企業は学生のどんなところを見ているのか。そして、学生はどのように企業の本気度を見極めればいいのか。

環境を大切な軸に就活を進める学生だからこそ気になるテーマについて、普段はなかなか聞くことのできない“企業側のホンネ”を率直に語っていただきました。

※:就活のカギは「環境」? 学生は企業の取り組みをどう見ているか

THEME01

企業は
「環境への想い」を
どう評価する?

最近、環境やサステナビリティに関心を持つ学生は増えていると感じますか?

待永さん待永さん

間違いなく増えていると思います。体感では7〜8割くらいの学生さんが、環境や持続可能な社会づくりに何らかの形で関わりたいと話されていますね。

瀧澤さん瀧澤さん

私も近い感覚です。現在は技術系職種の採用を担当していますが、理系の学生さんとお話しすると、研究テーマの選択理由として「環境問題への関心」を挙げる方が非常に多いですね。

一方で、事務系職種の面接を担当していた際にも、「環境に関わる仕事はありませんか」と相談を受けることがありました。環境への関心は、特定の学問領域や研究テーマに限ったものではなくなってきていると感じています。

羽田野さん羽田野さん

私が所属するESG戦略本部は、その業務内容から環境やESGに関心の高い学生のみなさんに注目いただくことが多いですが、最近では、ESG戦略本部への配属を希望している学生だけでなく、設計・開発・購買など他職種を志望している学生からも、リコーグループの環境への取り組みについて質問を受けたりします。

環境やサステナビリティへの関心そのものが、ここ2〜3年でグッと広がっていると感じますね。

羽田野さん

では、そうした学生の中で「一緒に働きたい」と
感じるのはどんな方でしょうか?
また、採用担当として少し気になるケースがあれば率直に教えてください。

瀧澤さん瀧澤さん

個人的には、「情熱」「経験」「自社理解」の3つが揃っている方です。環境に対する想いがあり、そのために何か行動してきていて、さらに当社でどんな仕事に貢献したいのかを一貫して語れる方ですね。

一方で、「情熱」だけで終わってしまうパターンは少しもったいないなと感じます。

環境に関心を持てること自体はとても素晴らしいことですし、一種の才能と言ってもいいかもしれません。ただ、それだけでは「入社後に何ができるのか」を判断しづらい。

気持ちは伝わるので高く評価したいのですが、採用の場では評価の根拠も必要になります。だからこそ、その想いをどんな行動につなげてきたのか、どんな形で仕事に活かしたいのかまで聞きたくなってしまいます。

羽田野さん羽田野さん

正直に申し上げると、少し困ってしまうのは「大学や大学院で研究したことをそのまま活かしたい」とおっしゃるケースです。

もちろん、研究に勤しんだ経験には非常に価値があると思っていますし、その過程で培った専門性や探究心は大きな強みになるはずです。

ただ、社会に出ると新しく学ぶべきことが本当にたくさんあります。長い社会人生活の中で考えると、大学や大学院で取り組んだ2〜3年の研究テーマをそのまま仕事に直結させるのは、実は簡単なことではありません。

だからこそ、「この研究を活かしたい」という発想だけでなく、その経験をもとにどんなことを実現していきたいのかという視点も大切なのではないかと思います。

待永さん待永さん

おっしゃる通りですね。強い想いがあるのはいいのですが、少し近視眼的になっている方は気になります。

本当に知りたいのは、「何をやりたいか」よりも、「なぜそれをやりたいのか」です。

私は面接で、「やりたいことにこだわりがある人ですか、それともありたい自分にこだわりがある人ですか?」とお聞きすることがあります。大事なのは、どちらを選ぶかではありません。自分が何を大切にしている人間なのかを理解できているかどうかです。

「再生可能エネルギーに携わりたい」という人もいれば、「社会にとって意味のある仕事をする人でありたい」という人もいる。そのどちらも素晴らしいと思います。

ただ、自分がどちらのタイプなのかを理解している人には、必ずその背景に原体験や価値観があります。私たちが知りたいのは、むしろそこなんです。

たとえば「再生可能エネルギーに携わりたい」なら、その背景にはどんな原体験があったのか。どんな価値観や問題意識があって、その想いにつながったのか。

もし想いの源泉がしっかりしていれば、将来取り組むテーマが変わったとしても、その方らしく力を発揮できるはずです。

逆に、学生側が「本気の企業」を見極めるためには、
どのようなポイントに注目するといいのでしょうか?

瀧澤さん瀧澤さん

まず一番わかりやすいのは、各社の公式サイトだと思います。本気で取り組んでいる会社であれば、環境やサステナビリティに関する活動は必ず掲載されているはずです。

量や写真、事例の多さを見ると、実際にどのくらい力を入れているのかが見えてきます。どのような活動をどのくらいの頻度で行っているのかまで見てみると、その企業の姿勢がより伝わってくると思います。

羽田野さん羽田野さん

加えて、中期経営計画や成長戦略の中にESGが組み込まれているかも見ていただくといいですね。「サステナビリティ」の項目だけで語られているのではなく、経営や事業、人材育成などの中にも環境やサステナビリティの視点が組み込まれているかを見ると、その企業の本気度がよりわかりやすいと思います。

待永さん待永さん

細かい視点にはなりますが、リクルーターの数や、どれだけ多様な社員と話せる機会があるかもひとつのヒントになるかもしれません。

限られた数名だけではなく、さまざまな社員と話せる機会があるということは、それだけ多くの社員が環境やサステナビリティについて自分の言葉で語れる状態にあるということでもあります。

もちろん絶対的な基準ではありませんが、自分たちの取り組みに自信があるからこそできることだと思います。

みなさんが、自社の環境に関する取り組みを学生に理解してもらうために
意識していることはありますか?

待永さん待永さん

豊田通商には、いわゆる環境に特化した職種があるわけではありません。見方を変えれば、環境とまったく関係のない事業はないとも言えます。

たとえば自動車事業に携わるからこそ、CO2排出という課題とも向き合うことになりますし、それをどう変えていくかも考えなければなりません。

そのため、学生さんから「この事業は環境とどう関係していますか?」などと聞かれたときには、その背景や考え方まで含めて、できるだけ丁寧にお伝えするようにしています。

これは豊田通商に限った話ではありませんが、本気で取り組んでいる企業であれば、そうした質問にはきちんと向き合ってくれるはずです。学生のみなさんにはぜひ遠慮せず、「なぜこの取り組みをしているのか」「事業と環境保全が両立できているのか」をどんどん聞いてほしいですね。

羽田野さん羽田野さん

まさにそうした質問に、社員が自分の言葉で答えられる状態をつくることが大事だと思っています。

私たちが意識しているのは、学生が誰に話を聞いても、リコーのサステナビリティへの本気度が伝わる状態をつくることです。実際、社内調査では社員の約98%が「自分の業務とSDGsがつながっている」と回答しています。

この数字を実現できている背景には、サステナビリティを一部の専門部署だけのものにせず、社員一人ひとりをどう巻き込むかを大切にしてきたことがあります。

トップからは「自分たちの業務をSDGsと結びつけて考えてほしい」というメッセージを発信し、それぞれの社員が自分の仕事とサステナビリティの接点を棚卸ししていく。

そうすると、たとえば財務部門からサステナビリティ・リンク・ローン(※1)の提案が出てくるなど、各部門が「自分たちにできることは何か」を主体的に考えるようになっていくんです。

※1:サステナビリティ・リンク・ローン:企業が設定した環境・社会に関する目標の達成状況に応じて、借入条件が変動する融資のこと。企業のサステナビリティへの取り組みを後押しする金融手法として活用されている。

瀧澤さん瀧澤さん

ブリヂストンでは、理系学生向けのイベントなどで技術センターにあるブリヂストンイノベーションギャラリーを見てもらう機会を設けています。当社の技術やサステナビリティの取り組みを、実際に目で見て理解してもらうためです。

また、みなさんのお話とも通じますが、私も企業理解を深める一番の近道は社員と話すことだと思っています。そのため、イベントには社員も参加し、直接質疑応答できる場を設けています。

会社のホームページだけでは見えない仕事のリアルやキャリアの積み重ね方を知ることで、「自分がこの会社で働く姿」をより具体的に描けるようになるはずです。

瀧澤さん

THEME02

環境に関わる道は、
ひとつではない

みなさんの企業で環境に関わる仕事に就くとなると、
どのような選択肢があるのでしょうか?

瀧澤さん瀧澤さん

ブリヂストンでは、環境領域を専門に担う「環境職」を設けています。

環境職では環境汚染を未然防止し、事業の足元を支え、強固な事業基盤を形成すべく、日々環境リスク管理業務に取り組んでいます。

とはいえ、「環境職で入社しないと環境領域に関わることができない」という話ではまったくありません。

たとえば人事であれば、優秀な人材を採用することで会社のサステナビリティを支えることができますし、調達であれば天然ゴム農園との関係構築や協働に関わることもあります。

どんな職種でも、それぞれの立場から直接的にであれ間接的にであれ 環境に貢献できるチャンスはあると思っています。

環境に関わりたいからといって、必ずしもサステナビリティ関連部署だけを
目指す必要はないということですね。

羽田野さん羽田野さん

まさにそうですね。サステナビリティはひとつの部署やテーマだけで完結するものではないので、幅広い経験を積むことが大切だと思います。

個人的には、海外のグループ会社を経験した後に日本のサステナビリティ部署へ戻ってくるようなキャリアパスも、これからさらに広げられると良いと考えています。

待永さん待永さん

私はむしろ、サステナビリティ部署だけにこだわりすぎないほうがいいと思っています。

たとえば、当社が強みを持つアフリカでの再生可能エネルギー事業に携わりたいという学生さんはたくさんいますし、それ自体は素晴らしい目標です。

ただ、それを実現するためには、再生可能エネルギーのビジネスを理解することも必要ですし、アフリカに限らず海外で働く経験や、数字を見る力、人とのネットワークを築く力も必要になります。

だからこそ、「今すぐやりたいこと」だけではなく、「10年後に実現したいこと」から逆算して考えてみてほしいと思っています。

いつまでに何を実現したいのか、そのために今どんな経験を積むべきなのかという順で考えると、キャリアの選択肢はさらに広がるはずです。

待永さん

環境への関心を面接で伝えると、「意識が高い」と思われそうで
不安だという就活生の声もあります。

瀧澤さん瀧澤さん

少なくとも私は、環境やサステナビリティに関心があることをネガティブに受け取ったことはありません。おそらく多くの企業でも、それだけで敬遠されることはないと思います。

大切なのは、その関心をどのように伝えるかです。企業の取り組みをきちんと理解しようとしていることが伝わると、こちらも「意識が高い」などとは思わず、むしろ「本気で関心を持ってくれているんだな」と感じます。

たとえばブリヂストンでは、使用済みタイヤを原材料レベルまで分解し、そこから合成ゴムの原料を取り出すリサイクル技術の開発を進めています。

「目の前にあるホットケーキを、卵と牛乳と小麦粉に戻すようなもの」と例えられるほど難易度の高い技術なのですが、そうした取り組みを調べたうえで「自分が入社したらどのように貢献できますか」といった質問をいただけると、しっかり理解しようとしてくださっていることが伝わります。

環境への関心そのものをアピールするというよりも、その企業が何をしていて、ご自身がどう関わりたいのかまで考えられていると、採用担当者の目により魅力的に映るのではないでしょうか。

待永さん待永さん

「環境にいいことをしたい」という姿勢にはまったく問題ありません。ただ、「綺麗なことしかしたくない」という姿勢になってしまうと、少し話は変わってきます。

環境問題は、綺麗事だけでは解決できません。たとえば100の環境にいい取り組みを進めるために、20の負荷が生じることもあります。それでも最終的にプラス80でいい未来につながるのであれば、その決断をしなければならない場面もあるんです。

ビジネスの現場には、どうしてもトレードオフがつきものです。そのリアルから目をそらさずに受け止めて、それでも少しでも良い未来に向けて一歩踏み出せる人とは、一緒に働きたいと思います。

羽田野さん羽田野さん

私も近い感覚です。環境やサステナビリティに関心を持つこと自体は素晴らしいことですが、社会に出ると理想だけでは解決できない課題に向き合う場面がたくさんあります。

だからこそ、「環境のために何をしたいか」という考えを大切にしながらも、「現実の中でどう実現していくか」を考えられることも大切だと思っています。

THEME03

環境や
サステナビリティに
関心を持つ学生へ
メッセージ

最後に、環境やサステナビリティに関心を持つ学生へ
メッセージをお願いします。

瀧澤さん瀧澤さん

冒頭にもお伝えしましたが、環境問題に自然と関心を持てることはひとつの才能です。決してマイナスに捉えられるものではないので、自信を持ってその想いを伝えてほしいですね。

そのうえで、自分がなぜ関心を持ったのか、どんな経験をしてきたのか、そして企業でどんな形で貢献したいのかまで考えてみると、自分自身が納得できる就職活動につながると思います。

待永さん待永さん

就職活動は、ご自身の原体験を深掘りし、それを言語化するまたとない機会だと思います。配属後に燃え尽きてしまわないように、自分の中にある“炎”がどこから来ているのかを、ぜひ見つめ直してみてください。そして、その炎を絶やさずに灯しつづけてほしいですね。

そのうえで、ぜひ自分とは異なる価値観にも目を向けてみてほしいと思います。同じように環境問題に関心を持っている人でも、その背景にある想いや大切にしていることは人それぞれです。

いろいろな価値観や考え方に触れることで、視野も広がりますし、きっと社会人になってからの仕事や人生も、より豊かなものになると思います。

羽田野さん羽田野さん

リコーには、社内公募で他部門から環境領域へ異動してくる社員がいます。なかには、10年、20年と別の仕事を経験した後に、「やっぱり環境の仕事がしたい」と手を挙げて来てくれるベテラン社員もいます。

キャリアは必ずしも一直線ではありませんし、最初から環境部署に配属されなければ環境保全に関われないわけでもありません。大切なのは、環境に対する想いや問題意識を持ちつづけることだと思います。

どこかで道はつながっています。ぜひ就職後も、環境への想いを大切にしながら、自分なりのキャリアを築いていってほしいですね。

座談会