最近、環境やサステナビリティに関心を持つ学生は増えていると感じますか?
待永さん-
間違いなく増えていると思います。体感では7〜8割くらいの学生さんが、環境や持続可能な社会づくりに何らかの形で関わりたいと話されていますね。
瀧澤さん-
私も近い感覚です。現在は技術系職種の採用を担当していますが、理系の学生さんとお話しすると、研究テーマの選択理由として「環境問題への関心」を挙げる方が非常に多いですね。
一方で、事務系職種の面接を担当していた際にも、「環境に関わる仕事はありませんか」と相談を受けることがありました。環境への関心は、特定の学問領域や研究テーマに限ったものではなくなってきていると感じています。
羽田野さん-
私が所属するESG戦略本部は、その業務内容から環境やESGに関心の高い学生のみなさんに注目いただくことが多いですが、最近では、ESG戦略本部への配属を希望している学生だけでなく、設計・開発・購買など他職種を志望している学生からも、リコーグループの環境への取り組みについて質問を受けたりします。
環境やサステナビリティへの関心そのものが、ここ2〜3年でグッと広がっていると感じますね。
では、そうした学生の中で「一緒に働きたい」と
感じるのはどんな方でしょうか?
また、採用担当として少し気になるケースがあれば率直に教えてください。
瀧澤さん-
個人的には、「情熱」「経験」「自社理解」の3つが揃っている方です。環境に対する想いがあり、そのために何か行動してきていて、さらに当社でどんな仕事に貢献したいのかを一貫して語れる方ですね。
一方で、「情熱」だけで終わってしまうパターンは少しもったいないなと感じます。
環境に関心を持てること自体はとても素晴らしいことですし、一種の才能と言ってもいいかもしれません。ただ、それだけでは「入社後に何ができるのか」を判断しづらい。
気持ちは伝わるので高く評価したいのですが、採用の場では評価の根拠も必要になります。だからこそ、その想いをどんな行動につなげてきたのか、どんな形で仕事に活かしたいのかまで聞きたくなってしまいます。
羽田野さん-
正直に申し上げると、少し困ってしまうのは「大学や大学院で研究したことをそのまま活かしたい」とおっしゃるケースです。
もちろん、研究に勤しんだ経験には非常に価値があると思っていますし、その過程で培った専門性や探究心は大きな強みになるはずです。
ただ、社会に出ると新しく学ぶべきことが本当にたくさんあります。長い社会人生活の中で考えると、大学や大学院で取り組んだ2〜3年の研究テーマをそのまま仕事に直結させるのは、実は簡単なことではありません。
だからこそ、「この研究を活かしたい」という発想だけでなく、その経験をもとにどんなことを実現していきたいのかという視点も大切なのではないかと思います。
待永さん-
おっしゃる通りですね。強い想いがあるのはいいのですが、少し近視眼的になっている方は気になります。
本当に知りたいのは、「何をやりたいか」よりも、「なぜそれをやりたいのか」です。
私は面接で、「やりたいことにこだわりがある人ですか、それともありたい自分にこだわりがある人ですか?」とお聞きすることがあります。大事なのは、どちらを選ぶかではありません。自分が何を大切にしている人間なのかを理解できているかどうかです。
「再生可能エネルギーに携わりたい」という人もいれば、「社会にとって意味のある仕事をする人でありたい」という人もいる。そのどちらも素晴らしいと思います。
ただ、自分がどちらのタイプなのかを理解している人には、必ずその背景に原体験や価値観があります。私たちが知りたいのは、むしろそこなんです。
たとえば「再生可能エネルギーに携わりたい」なら、その背景にはどんな原体験があったのか。どんな価値観や問題意識があって、その想いにつながったのか。
もし想いの源泉がしっかりしていれば、将来取り組むテーマが変わったとしても、その方らしく力を発揮できるはずです。
逆に、学生側が「本気の企業」を見極めるためには、
どのようなポイントに注目するといいのでしょうか?
瀧澤さん-
まず一番わかりやすいのは、各社の公式サイトだと思います。本気で取り組んでいる会社であれば、環境やサステナビリティに関する活動は必ず掲載されているはずです。
量や写真、事例の多さを見ると、実際にどのくらい力を入れているのかが見えてきます。どのような活動をどのくらいの頻度で行っているのかまで見てみると、その企業の姿勢がより伝わってくると思います。
羽田野さん-
加えて、中期経営計画や成長戦略の中にESGが組み込まれているかも見ていただくといいですね。「サステナビリティ」の項目だけで語られているのではなく、経営や事業、人材育成などの中にも環境やサステナビリティの視点が組み込まれているかを見ると、その企業の本気度がよりわかりやすいと思います。
待永さん-
細かい視点にはなりますが、リクルーターの数や、どれだけ多様な社員と話せる機会があるかもひとつのヒントになるかもしれません。
限られた数名だけではなく、さまざまな社員と話せる機会があるということは、それだけ多くの社員が環境やサステナビリティについて自分の言葉で語れる状態にあるということでもあります。
もちろん絶対的な基準ではありませんが、自分たちの取り組みに自信があるからこそできることだと思います。
みなさんが、自社の環境に関する取り組みを学生に理解してもらうために
意識していることはありますか?
待永さん-
豊田通商には、いわゆる環境に特化した職種があるわけではありません。見方を変えれば、環境とまったく関係のない事業はないとも言えます。
たとえば自動車事業に携わるからこそ、CO2排出という課題とも向き合うことになりますし、それをどう変えていくかも考えなければなりません。
そのため、学生さんから「この事業は環境とどう関係していますか?」などと聞かれたときには、その背景や考え方まで含めて、できるだけ丁寧にお伝えするようにしています。
これは豊田通商に限った話ではありませんが、本気で取り組んでいる企業であれば、そうした質問にはきちんと向き合ってくれるはずです。学生のみなさんにはぜひ遠慮せず、「なぜこの取り組みをしているのか」「事業と環境保全が両立できているのか」をどんどん聞いてほしいですね。
羽田野さん-
まさにそうした質問に、社員が自分の言葉で答えられる状態をつくることが大事だと思っています。
私たちが意識しているのは、学生が誰に話を聞いても、リコーのサステナビリティへの本気度が伝わる状態をつくることです。実際、社内調査では社員の約98%が「自分の業務とSDGsがつながっている」と回答しています。
この数字を実現できている背景には、サステナビリティを一部の専門部署だけのものにせず、社員一人ひとりをどう巻き込むかを大切にしてきたことがあります。
トップからは「自分たちの業務をSDGsと結びつけて考えてほしい」というメッセージを発信し、それぞれの社員が自分の仕事とサステナビリティの接点を棚卸ししていく。
そうすると、たとえば財務部門からサステナビリティ・リンク・ローン(※1)の提案が出てくるなど、各部門が「自分たちにできることは何か」を主体的に考えるようになっていくんです。
※1:サステナビリティ・リンク・ローン:企業が設定した環境・社会に関する目標の達成状況に応じて、借入条件が変動する融資のこと。企業のサステナビリティへの取り組みを後押しする金融手法として活用されている。
瀧澤さん-
ブリヂストンでは、理系学生向けのイベントなどで技術センターにあるブリヂストンイノベーションギャラリーを見てもらう機会を設けています。当社の技術やサステナビリティの取り組みを、実際に目で見て理解してもらうためです。
また、みなさんのお話とも通じますが、私も企業理解を深める一番の近道は社員と話すことだと思っています。そのため、イベントには社員も参加し、直接質疑応答できる場を設けています。
会社のホームページだけでは見えない仕事のリアルやキャリアの積み重ね方を知ることで、「自分がこの会社で働く姿」をより具体的に描けるようになるはずです。