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WWFの活動

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消費者の視点で海の資源を考える「さかなガイド」

世界の海で枯渇が心配される、魚や貝などの水産資源。その消費を支える水産物の生産量は、50年前と比較し4倍に増加しています。WWFはこうしたシーフードの現状を、一般の消費者に知ってもらい、資源と海の環境問題を共に考えていただくための「さかな(寿司)ガイド」を制作しました。ガイドでは、天然・養殖の魚種ごとに、資源状況や漁獲方法が環境に与える影響を評価。消費者がシーフードを選ぶ際の参考になる情報をまとめています。

「海の恵み」に危機がせまる

2010年に漁獲された天然および養殖の魚介類の量は、およそ1億7,000万トン。1960年ごろの量と比べ、4倍以上に増加しました。

『世界漁業・養殖業水産白書』の2010年版によれば、人類が世界の海で漁獲し、消費しているさまざまな魚種のうち32%が「獲りすぎ」の状態に、さらに53%が過剰な利用を規制するなどの措置が必要とされる状態にあります。

これは、現在は当たり前に一般の家庭の食卓で消費されているさまざまな魚、エビ、貝などが、すでに、あるいは今後、深刻な資源の枯渇にさらされている可能性を警告するものです。

過剰な利用と環境の悪化

こうした問題の背景にあるのは、単なる「魚の獲りすぎ」だけではありません。漁獲の方法や、養殖のあり方、沿岸の自然破壊も、資源状況に大きな影響を及ぼします。

漁法については、同じ魚でも、用いる網やその方法によって、成熟していない魚まで獲ってしまったり、海の自然環境を壊したり、取る必要のない他の生物をも獲ってしまう「混獲」の問題を引き起こすケースがあります。

養殖についても、薬物や過剰な餌の投与が海を汚染したり、逃げ出した魚などが外来生物として、周辺の生態系に悪影響を及ぼすケースがあります。

また、マングローブや干潟、サンゴ礁といった沿岸の自然環境は、多くの海の生きものをはぐくむ、「命のゆりかご」として、大切な役割を果たしていますが、こうした自然の破壊問題も、海の生産性や資源状況を悪化させる要因になっています。

消費者の視点から考える海の問題

海の資源をめぐる問題は、日常的にシーフードを消費して成り立っている日々の生活や、長くはぐくまれてきた文化にも、影響を及ぼす問題です。

この問題を一般の消費者と考え、またアクションを促すために、WWFは「さかなガイド」を制作しました。

ガイドでは、寿司ダネになる魚介類を中心に、養殖・天然あわせて20種について検証。
どの魚介類が、どのような資源状況にあるのか。また漁獲方法や養殖方法が環境に悪影響を及ぼしていないか、などを総合的に評価し、緑から赤の ゲージでそれぞれの状況を示しました。

緑に近いものを選んでいただくとともに、情報の無いものについては、お店や企業に対して情報の開示を求めることで、環境に配慮したシーフードの「トレーサビリティー(流通経路の追 跡)」の確立を促すことを目的としています。

なお、WWFはこのガイドを世界の海外でも発表しており、それぞれの地域や国で消費されているシーフードについての検証結果を、消費者に提 示しています。

今回、日本でも行ったガイドの発表を通じて、一般の方々が自らの消費するシーフードに対し関心を持ち、行動してもらうきっかけにしていただ きたいと考えています。

「さかなガイド」はこちら

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「さかな(寿司)ガイド」はスマートフォン、携帯でもご覧いただけます


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さかな(寿司)ガイド

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世界の生産量の推移

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漁業資源の現状

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評価一覧(一部)

 

「寿司(さかな)ガイド」Q&A

Q.「寿司(さかな)ガイド」にある水産物はどのようにして選んだのですが?

A.2009年に消費者を対象に「家庭の魚介類に関するアンケート」を実施しました。また、ガイドの試作品を作成し、WWFジャパン会員のご協力を得て、実際に使った際のご意見を寄せていただきました。それらの意見を反映させて、今回のガイドを完成させました。アンケート結果からわかった消費者がよく食べる魚介類、寿司種として人気の魚介類という観点から、今回の22種を選びました。

Q.WWFは日本以外にどんな国でガイドを発表しているのですか?

A.ガイドは、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、ロシア、香港、インドネシア、シンガポールなど、複数の国で作られています。それぞれの国や地域で消費されている水産物の持続可能性について、共通の手法で評価し、消費者に提示しています。その手法は、WWFが他の団体(The Seafood Choices Alliance, North Sea Foundation and the Marine Conservation Society)と共同で開発したものです。

Q.どのような基準で評価を行っているのですか?

A.漁業と養殖のそれぞれについて、現在の資源状況だけでなく、資源管理のための体制や環境への影響などを総合的にみています。
漁業の場合は、絶滅の危機度、資源状況、資源の回復力、生態系や環境への影響、漁業管理体制があるかどうかやその実効性などについて、総合的に判断しています。
養殖の場合は、養殖場の立地に関する問題、動物虐待の規程の有無、給餌や薬剤、排水による環境影響、病害虫や逃げ出しによる野生化のリスク、エサ原料となる生物への影響などについて、総合的に評価しています。

Q. どのような資料をもとに評価を行っているのですか?

A.既存の学術論文、水産試験場や研究機関が発表している資料や報告書を元に評価しています。また、科学論文以外にも、各漁業の管理主体が実施する措置の確認も参考資料として含まれています。
なお、評価は第三者によって実施されています。日本の「さかなガイド」のための評価は2011年に行なわれました。

Q. ガイドの緑色、黄色、赤色はどういう意味があるのですか?

A.緑色から右に位置する、黄色~赤色のものは、改善すべき課題があるということを意味しています。赤色に近いほど、その課題は多く、重大であるということです。水産物を利用するときは、なるべく緑色のものを選びましょう。水産物に対し関心を持ち、行動してもらうきっかけにしていただきたいと考えています。

関連情報

あなたの支援で、できること。たとえば… 資源の持続可能な利用を促す WWF会員が125人集まれば、企業が自ら、違法伐採の木材商品を購入していないか、チェックできるウェブサイトを作ることができます。 「あなたの支援でできること」を見る