春の田んぼに命の息吹~サシバの里で


こんにちは。法人パートナーシップ担当の小田です。

この週末、サシバの生息する栃木県の里山へ、麻布中高・生物部の皆さんと一緒に、春の生物調査に行ってきました。

まだ肌寒い日でしたが、田植えを待つ里山には、そこかしこで命の息吹が感じられました。スミレや菜の花も満開。

冬眠から目覚めたシマヘビ、ツチガエル、アマガエル、アカハライモリ、ホトケドジョウ、タガメ、タイコウチ、ゲンゴロウ類にも遭遇。

シュレーゲルアオガエルの大合唱の中、畔にはたくさんのオタマジャクシが跳ねていました。

満開の菜の花やスミレ(市貝町)

調査で頼りになるのは、自分の目と知識と勘、そして手で操る網だけ。あとは熱意と根気で、生物部員の皆さんが一日奮闘し、このような希少な生き物たちの生息を確認できました。

実は、日本の田んぼは、世界的に見ても生物多様性の宝庫。一方で、開発や耕作放棄等によって、多くの絶滅の危機に瀕した生き物たちの住処でもあります。

先ほどのタガメ(絶滅危惧II類(VU))もホトケドジョウ(絶滅危惧IB類(EN))もアカハライモリ(準絶滅危惧種(NT))も環境省レッドリストに搭載されている絶滅が心配される種。「えっ、自分が子どもの頃は普通に身近に見られたのに」と驚かれる方も多いと思います。

タガメ(絶滅危惧II類(VU))田んぼ最強の狩人

この日本の人と自然が調和した豊かな風景を守るため、WWFジャパンでは、国内の生物多様性保全プロジェクトも展開中です。

田んぼの生き物たちから、新しい週への原動力を得て、帰宅しました。

仕事に追われている忙しい皆さんも、たまには都会から離れて、身近な里山で体を動かし、生き物のパワーに触れてみませんか。

ホトケドジョウ(絶滅危惧IB類(EN))鷹揚な「ほとけ」顔

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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