【動画あり】朗報!あの末っ子の仔ヒョウが母親に


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

先日、極東ロシアの森から嬉しいニュースが届きました。

「ベリー」が母親になった!という知らせです。

ベリーは、WWFと「ヒョウの森国立公園」が2013~2014年にかけて調査・記録していたアムールヒョウ親子の仔の1頭。

この親子、ヒョウにしては珍しく3つ子で、ベリーはその一番小さな末っ子でした。

仔ヒョウが全て生き延びることは珍しく、ベリーも一時、姿が見えなくなり、保護関係者を心配させましたが、その後、再び生存を確認。

2015年当時のベリー

2015年には大きく成長し、独り立ちした姿も映像で捉えられていました。

そしてこの春、ベリーが洞窟で仔ヒョウを連れている映像が撮影されたのです!

仔ヒョウはまだ生後4か月ほどで、洞窟の周りをうろちょろし、母親を困らせています。

あの時、母親の捕らえた獲物にかぶりつき、狩りの練習をしていたベリーが、今度は子のために獲物を捕り、狩りの仕方を教える番。

洞窟に入るベリー

幼かったベリーが4才の立派な母ヒョウになって、子育てをするようになったかと思うと、なんだか勝手に親になった気分でジーンときてしまいます。

実は、ベリー親子の撮影にはちょっとした裏話がありました。

この場所に自動カメラが仕掛けられたのは、シベリアトラを撮影するためだったのです。

国立公園職員が、洞窟近くでトラの痕跡を発見したのがきっかけでした。

そこに、運良くベリー親子が現れた、というわけ。

しかし、アムールヒョウにとって、身体の大きなシベリアトラは恐ろしい敵。

付近にこれがいるとなると、ベリーの子育てが少し心配です。

ともあれ、2007年にはわずか30頭前後だったアムールヒョウは、10年の保護の年月をかけて70頭にまで増加しました。

ベリーもがんばって次の世代を育ててくれることを願うばかりです。

またこの親子の続報が入ってくるのを楽しみにしたいと思います。(自然保護室 川江)


洞窟内の仔ヒョウ

関連情報

この記事をシェアする

自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP