日本からスマトラへ 森の保全を願うメッセージ


こんにちは、自然保護室の橋本です。
先日インドネシアのスマトラ島リアウ州の森林保全活動の現場に行ってきました。

訪れたのは、日本の普段の生活の中でもたくさん利用されている「パーム油」を生産するため、アブラヤシを栽培している小規模農家です。

アブラヤシ農園の開発は今、スマトラやボルネオで熱帯林を破壊する大きな原因になっており、野生生物や人の暮らしに大きな影響を与えることで知られています。

スマトラの森を伐り拓いて造成されるアブラヤシ農園。左上に自然の森がわずかに残っています。

ですが、すべてのアブラヤシ農園が悪いというわけではありません。

たとえば今回の現場では、多くの小規模なアブラヤシ農家の方が集まってグループを作り、森の環境や人権、安全や衛生などに配慮したアブラヤシの栽培を実施。

さらに、そうした配慮の証明であるRSPO認証の取得を目指し、私たちと一緒に活動しているのです。

グループの皆さんはRSPOの取り組みを始めて、色々な意識が変わったといいます。

日本の皆さんからスマトラの森に届けられたメッセージ。農家の皆さんは、熱心にメッセージを読んで、とても嬉しそうにされていました。

例えば、安全衛生についてきちんと取り組むようになり、農薬散布やアブラヤシの実の採集などがより安全に作業ができるようになったことや、土壌の流出を防ぐ手法を知り、管理の手間が減ったこと。

そして何より、以前は気にも留めなかった生きものたちのことを考えるようになったそうです。

時々、農園の中に入りこむフクロウなどの野鳥を見かけると、とても嬉しい気持ちになるとか。

そんな皆さんに今回、私は日本からとあるお土産をお渡ししました!

森を守りながらのアブラヤシ栽培に取り組む小規模農家の人たち

この5月にWWFジャパンが日本で、パーム油をテーマにイベントを実施した折に、参加者の皆さんから、農家の皆さん宛てにいただいていたメッセージ。これをお届けしたのです。

日本からのメッセージは、森を守る現場の皆さんにとって、とてもよい励みになったことと思います。

メッセージをくださった皆さん、改めてありがとうございました!

スマトラの森に生息するトラの亜種スマトラトラ。森林伐採とくくり罠などによる密猟によって絶滅寸前の危機にあります。

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自然保護室(金融 グループ長)
橋本 務太

主にスマトラのプロジェクトと、日本で木材を適切に利用する活動を担当。国際基督教大学(国際関係学科)卒業後、英国ノッティンガム大学で環境マネジメント専攻の修士課程修了。環境コンサルタント勤務等を経て、2004年にWWFジャパン入局。森林担当として、企業の森林資源調達における森林生態系・社会配慮の普及、海外森林プロジェクトの設計・管理、新規アクティビティ立ち上げなどを担当。林野庁「「クリーンウッド」利用推進事業」委員等を歴任。2021年7月より金融グループ長。

簡単には正解が見えない仕事ですが、現場に出てみることが大切。どうずれば良いかみんなで考え、試しの繰り返しで成果が出たときが一番嬉しいです。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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