シャコガイ徒然草


先日、某バラエティ番組で世界最大の真珠が紹介されていました。

巨大かつ不思議な形のそれは、一般的なアコヤガイ、いわゆる真珠貝からではなく、珍しいことにシャコガイから採られたそうです。

シャコガイと言えば、人魚姫が座っていたり、ダイバーが足を挟まれたりする巨大な貝というイメージがありますが、実際オオシャコガイなどは、体長1m以上、重さ数百kgと二枚貝で最大の大きさになるそうです。

体長1mを超えるオオシャコガイ。海の中で遭遇したら驚きますね...!

鮮やかなブルーは藻類の色なんだそう。

ただ、貝の動きが緩慢ですので、足を挟まれることはまずありません。

シャコガイが生息するのは、インド洋~太平洋の暖かい海。

サンゴに埋まっている、鮮やかな青や紫のヒメシャコガイを見たことのある方もいるかと思います。

派手な色彩は外套膜に共生する藻類の色で、この藻類が光合成で得た養分を分けてもらっているらしい。

自分でもプランクトンを食べているので、まるでサンゴのような暮らしぶりです。

そんなシャコガイを人は古くから利用してきました。身は食用に、厚く大きな貝殻はさまざまな加工品として。

しかし、各地で乱獲されたため、オオシャコガイ、ヒメシャコガイを含むシャコガイ科の貝(Tridacnidae spp)は、現在11種全てがワシントン条約附属書Ⅱに掲載され、国際取引が規制されています。

再生の活動も行なわれています。

南太平洋の島国パラオでは、野生個体を保護するため、利用は養殖されたものに限っているそう。

フィジーで撮影された鮮やかな模様のシャコガイ。

また沖縄でもおいしい貝として知られていますが、ここでも禁漁期間を設定し、資源の保全に取り組んでいるとのこと。

時には真珠を生み出すこともある、不思議な海の命。

人の利用がその生存を脅かすことのないように、感謝と配慮を忘れないようにしたいと思います。(トラフィック 若尾)

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
若尾 慶子

修士(筑波大学大学院・環境科学)
一級小型船舶操縦免許、知的財産管理技能士2級、高圧ガス販売主任者、登録販売者。
医療機器商社、海外青年協力隊を経て2014年入局。
TRAFFICでペット取引される両生類・爬虫類の調査や政策提言を実施。淡水プロジェクトのコミュニケーション、助成金担当を行い、2021年より野生生物グループ及びTRAFFICでペットプロジェクトを担当。
「南西諸島固有の両生類・爬虫類のペット取引(TRAFFIC、2018)」「SDGsと環境教育(学文社、2017)」

子供の頃から生き物に興味があり、大人になってからは動物園でドーセントのボランティアをしていました。生き物に関わる仕事を本業にしたいと医療機器業界からWWFへ転身!ヒトと自然が調和できる世界を本気で目指す賛同者を増やしたいと願う酒&猫好きです。今、もっとも気がかりな動物はオガサワラカワラヒワ。

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