日本でも!持続可能なパーム油を広げよう


パーム油、という言葉、聞いたことがあるでしょうか。

食品などの原材料に「植物油」と表記されている油の一つで、スーパーに並ぶ製品の約半分には、これが含まれると言われています。

しかし、インドネシアなどでは今、このパーム油が採れるアブラヤシの農園をつくるために、熱帯林が切り拓かれ、問題になっています。

切り拓かれたボルネオの森。アブラヤシの苗が植えられています

「パーム油の問題は環境問題ではなく、人類が起こした人類の問題です」

先日、そんな言葉を聞きました。

日本で初めて開催されたセミナー「RSPOジャパン・デー2016」で、RSPOのダレル・ウェーバー事務局長が語った言葉です。

RSPOとは、環境に配慮して生産された「持続可能なパーム油」の利用を広げる、世界的な認証制度です。

RSPOの認証マーク。持続可能なパーム油製品に付けられます。

この日のセミナーには、食品・化粧品・洗剤メーカーをはじめ小売や商社、省庁などの関係者400名以上が参加。

パーム油に関する日本の現状や先進事例、課題が取り上げられ、持続可能なパーム油の調達を考える場となりました。

最も大きなカギとして注目されたのは「消費者の理解」です。

9月に開催されたRSPOジャパン・デー2016

「日々の何気ない行動が、世界に大きな影響を及ぼすことがあります」とウェーバー事務局長も語った通り、パーム油を使ったさまざまな製品を選び、買うのは、世界の消費者たち。

その行動が変われば今、パーム油が引き起こしている森林破壊や野生生物の危機といった問題を、解決できるはずです。

いつも手にする食品や日用品をひっくり返して、植物油と記載がないか、RSPOの認証製品だけにつけられるラベルがないかを見てみること。

そして企業やお店にRSPOの製品を扱うように、消費者としての「声」を届けること。

そんなアクションに、皆さんもぜひ、参加していただければと思います。(自然保護室 伊藤)

スマトラの森に生息するスマトラトラ。生息数は数百頭といわれ、絶滅の危機にあります。トラを追いつめる原因の一つに、無計画なアブラヤシ農園の開発があります。

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自然保護室 森林グループ所属
伊藤 小百合

消費者向けのアウトリーチと、フィールドでの活動を発信するコミュニケーションを担当。

ツンドラでの植生調査、在来種の苗木屋さん、科学館職員を経て、このお仕事に就きました。新しく知るだけでは、変えられない世界があるから、誰もができるアクションをおみやげにできるようなコミュニケーションが目標です。

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