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海の一角獣がもつ「北極の象牙」を調査中

2016年11月22日|山本(亜)

まるで伝説上の生き物かと見間違う姿をもつ「イッカク」をご存知でしょうか?

イッカクは、北極圏の海に生息する小型のハクジラ類で、背びれがなく、ずんぐりとした体形。

体長は3.4~3.9メートルほどで、何よりも印象的なのは、雄が持つ頭部から突き出た螺旋状の牙です。

北極の海を泳ぐイッカクの群

その長さは平均で2メートル、重さ8キロにもなり、美しいフォルムから「北極の象牙(Arctic Ivory)」とも呼ばれています。

このイッカクの牙が今、国際的にどう取引され、利用されているのか。

WWFとIUCN(国際自然保護連合)の共同プログラムで、世界の野生生物取引を監視する「トラフィック」では、その調査を行なっています。

イッカクの学名であるMondon monocerosは「1本の歯」という意味。角のように見える牙は上顎の左側の歯が成長したもので、まれに牙を2本持つ個体もいるそうです。

イッカクはワシントン条約では附属書Ⅱに掲載され、国際取引は制限されている動物。

特に生息国の一つであるカナダでは、捕獲の許可は先住民族に限るなど、厳しい保護が行なわれていますが、国際的には制限下での合法的な取引が続けられています。

日本には最初、江戸時代にオランダを通じて、このイッカクの牙がもたらされたと言われ、その後は、根付や彫刻などの装飾品、そして薬の原料として、少量ながら利用されてきました。

雌には牙はありません。

今回、トラフィックは、現在の日本でのイッカクの利用状況を確認するため、国内の骨董市やオークションサイト、専門家の方から話しをお聞きするなど市場の実態を調査。

今のところ、日本の利用が大きな割合を占めるような結果は出てきていませんが、こうしたイッカクの牙のようなものが突発的にもてはやされ、突然利用が急増すると、その動物を追いつめしまうことは、しばしばあります。

どのような調査と対策が必要になっていくのか。今後も保護や利用の在り方を考えてゆかねばならないと思います。(広報 山本)

イッカクの雄は牙と牙を当てず、高く掲げて見せて優劣を競います。水面からより高く上げられた個体が上位となります。牙の役割は、氷に穴を開けるためや、エコロケーション、感覚器など諸説あり、今もなお多くの謎に包まれています。

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