最高水温を記録!続くサンゴの白化現象


こんにちは。沖縄の石垣島より「しらほサンゴ村」の鈴木倫太郎です。

今、こちらでは、海がとても心配される状況が続いています。

かなりの広範囲で、サンゴの白化現象が起きているのです。

白化は、サンゴが強いストレスを受けると生じる現象で、文字通り、色が白くなって弱ったり、死滅する原因になるものです。

この8月、白保の海岸から沖に500m付近の海では、水温の平均が30.84度という状況が続き、特に最高水温は32.85度と過去最高を記録しました。

水温は...34.8度!浅いところなどはさらに温度が上がります

30度を超えた時間は合計で468時間。

サンゴの生育に最適とされるのは、25~29度とされていますから、この状況がサンゴにストレスを与える大きな原因になっていることは間違いありません。

先日も状況を確認しましたが、8月上旬に35~45%だった造礁サンゴの白化は、50%を越えるくらいまで進行していました。

さらに、8月18日から21日までの大潮の日が、昼に干潮時を迎えた上、晴天でしたので、浅くなった海で日光にさらされたサンゴには、さらにストレスがかかったと思われます。

白化したサンゴ

私は1998年、前例がないといわれた規模の大白化を白保の海で見ていますが、このままの状態が続くと、同規模の白化現象に繋がる可能性は否めません。

そのようなわけで、こちらでは雨乞いならぬ、台風乞い?をしたい気持ちになっています。

強い波と風で海水をかき回し、水温を下げてくれる台風は、夏場のサンゴにとっては、実は重要な存在なのです。

今年、沖縄に接近する台風が少ないことも、白化の原因の一つになっています。

海面上からでも白化しているのが分かります

今のところ、白化して死滅したサンゴはそれほど増えておらず、よく持ちこたえている感じですが、このままでは本当に危険な状況になりそうです。

回復を願いつつ、引き続き状況を見守りたいと思います。

関連情報

この記事をシェアする

自然保護室 国内グループ所属
鈴木 倫太郎

南西諸島のサンゴ礁など海域をフィールドを担当しています。

石垣島・白保の海に初めて出会ってから20余年。それ以来、研究者として、仕事として、サンゴにかかわり続けてきました。サンゴを愛し、サンゴから愛されそびれた男。サンゴ礁の魅力を多くの人に伝えていきたいと思います。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP