野生ネコたちの姿を捉えた動画の裏話


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

こんにちは。自然保護室の小林です。
先日2月22日は、にゃんにゃんにゃんでネコの日、ということで、WWFジャパンのfacebookなどでもここ数日、野生ネコたちの画像や動画をお届けしてきました。

特に動画は、極東ロシア、スマトラ、ボルネオといった私たちの保全活動の現場で、「カメラトラップ」を用いて撮影されたものです。

これは、カメラの前を動物が通ると自動で撮影してくれる便利な道具で、厳しいフィールドでの調査を支えてくれる強い味方です。

こうしたカメラトラップを仕掛ける理由は、現場によってさまざまです。

ロシアでは、まさにヒョウやトラの保護活動のために設置していますし、スマトラではサイの調査のために。

ボルネオでは、サイの調査に加えて、特定の動物を対象とした調査ではなく、熱帯林の生物多様性の高さを測定するためにも使っています。

カメラトラップの設置

現場での調査は本当に大変です

皆さんに見ていただいている動画は、実はこうして撮影された膨大な映像データの一部であり、色々な目的の調査の副産物でもあるのです。

私たちの活動は、すべてが直接ネコ科動物の保護・保全につながっているわけではありません。

たとえば、ボルネオの動画にはマーブルネコなどが登場しますが、それだけの保護を目的としたプロジェクトはありません。

ですが、一貫して重要なのは、さまざまなネコ科の動物たちを守っていくためには、生息地の自然をきちんと守る必要があるということ。

そして、野生ネコたちの生きるロシアやスマトラ、ボルネオの貴重な森林を守るということは、その獲物となる動物たちを含めた、より多くの生きものたちのいとなみを守っていくことにつながる、ということです。

野性味あふれる動物たちの姿をカメラトラップがとらえてくれる、そんな森の姿を、未来に引き継いでいけるように。これからも活動を続けていきます。

関連情報

 

 

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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環境保全団体です。

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