トラを1頭1頭見分けるには?


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
昨年、極東ロシアのシベリアトラの個体数がこの10年間で確実に増加している、という報告をお届けしました。
これは、困難なフィールドの現場で行なわれた、大規模かつ精度の高い調査が明らかにした、保護活動の成果です。

その調査の中には、トラを1頭1頭見分け、個体数を推定する作業も含まれています。
でも、どうやってそんな「見分け」をするのか? 皆さんはご存知でしょうか。

その個体識別をちょっと体験してみてください。
こちらに用意した4枚のスマトラトラの写真。ここに何頭のトラが写っているか、わかりますか?

答えは3頭。
1、2、3番はそれぞれ異なる個体ですが、4番は1と同じ個体です。

実は、人の指紋が1人1人異なるように、トラは縞模様が1頭1頭違います。この縞模様を見分けることで、個体を識別することができるのです。

たとえば、1番のトラはお腹の所に楕円形の模様がありますが、2番のトラにはそうした模様がありません。
3番と4番のトラには、同じような模様がありますが、右の後脚に注目すると、明らかに模様が違うことが分かると思います。

極東ロシアをはじめトラの個体数調査では、こうした写真の分析に加えて、雪上や地面に残された痕跡(足跡など)の測定やDNA分析も併用されていますが、写真や映像の果たす役割は大きくなっています。

2010年(寅年)の時点で推定された世界のトラの個体数は3,600頭前後。
ロシアやインドなどのトラの生息国とWWFでは、 その数を次の寅年である2022年までに、倍近い約6,000頭に増やす目標を掲げています。

保護と生息環境を保全する活動を強化し、この目標を実現させるためにも、 ぜひご支援をお願い致します。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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