いよいよ大詰めのCOP21 問われる「目標」の見直し(動画あり)


国連の気候変動会議「COP21」が開かれているフランスのパリより、温暖化担当の山岸です。

COP議長をつとめるファビウス仏外相が「パリ合意」の採択をめざす11日(金曜日)の午後6時まで、24時間を切りました。

9日午後に出された合意草案をめぐる交渉は夜を徹して行なわれ、その結果を反映した修正案が10日の午後に発表される予定でした。

厳しい交渉を反映して、その時間は午後7時に延期され、ようやく9時に発表されました。

この合意草案を基に、各国の政府代表団は、再び徹夜で最終合意に向けた交渉を続けています。

そのなかでNGOが重視している論点のひとつが、「パリ合意」が発効する2020年より前に、現在の国別目標案の見直しを行なうことです。

現在までに185か国が、2025年か2030年に向けた温室効果ガスの国別目標案を国連に提出しています。

パリ合意を求める世界の市民の声を伝える市民団体の展示

記者会見で議長国フランスへの期待を語るWWFの気候変動・エネルギー政策をリードするタズニーム・エソップ(左)。WWFインターナショナルではCOPの会期中、毎日記者会見を行なっています

しかし、すべての国の目標を合わせても、危険な気候変動を防ぐ目安となる、平均気温の上昇を「2度未満」に抑える、という目標は、達成できないことがわかっています。

そのため、合意草案には、世界全体の取り組み状況を5年ごとに確認した上で、各国は削減目標を5年ごとに見直して新しい目標を提出する、しかも新しい目標は古い目標より強化することによって、各国がたゆむことなく削減目標を引き上げ続けていくしくみが盛り込まれました。

問題は、その5年サイクルの見直しをいつ始めるか、です。

パリ合意が発効する2020年までに、各国の目標が引き上げられなければ、現在の不十分な削減目標が固定されてしまうからです。

そのため、WWFをはじめとする世界のNGOは、2020年より前に世界全体の取り組みを確認し、2020年に各国がより高い削減目標を再提出することによって、各国の取り組みを強化することを求めているのです。

その内容が反映されるかどうか。最終日の交渉を注視したいと思います。

会場内に設営されたエッフェル塔。温暖化防止を願うたくさんのメッセージで飾られています

「パリ合意」の成功を求める市民たち。強い関心と熱意が、世界の首脳に向けられ、その決定を動かそうとしています

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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