COP21の第1週目、作業部会での議論が無事に(?)終了(動画あり)


フランス・パリより、温暖化担当の山岸です。
こちらで開催中のCOP21、第1週目の交渉が終わりました。

正直に言うと、私は交渉はもっと長引いて、下手すると土曜の深夜まで行くかもしれない...と予想していました。国連の温暖化会議が長引くのは、半ば常態化しているからです。

しかし、その予想を大きく裏切り(!?)、会議は予定通り、ADP(ダーバン・プラットフォーム特別作業部会)と呼ばれる作業部会での交渉を、土曜の昼までに終えました。

といっても、それは、交渉が大きく進んだからというわけでは、残念ながらありません。

交渉官でできる所までは何とか交渉を進めたが、ここから先は大臣レベルによる政治的判断を伴う交渉が必要なので、一区切りつけた、というのに過ぎません。

事実、作業部会できた草案には、まだ文言が合意されてないことを示す括弧が大量にあります。

土曜夜に開かれたCOP(締約国会議)の総会

議長国フランスのローラン・ファビウス外務・開発大臣

夕方のCOP(締約国会議)の総会では、早速、横断的論点を4つピックアップして、分科会を作り、例年のCOPとしては異例ながら、日曜日も公式に交渉を続けることが決まりました。

こうした対応には、とにもかくにも、交渉の進展に弾みをつけたい、という議長国フランスや、条約事務局の思いを見ることができます。

現実的には、この来週の交渉も、これまで通り、国益が激しくぶつかり合う、非常に厳しい交渉となることでしょう。

それは会議に参加する誰しもが理解していることです。

しかし、土曜日夜に開催されたCOPの総会では、マーシャル諸島の代表が、「私たちは、互いを非難しに来たわけではない」「より高い目標へ向けて同盟を築こう」と呼びかけ、会場から拍手が送られました。

このように、会議に参加している交渉官たちは、国益に立脚した発言の中に、あえてポジティブなトーンを盛り込むことで、合意へ向けた勢いを作ろうとしており、そうした姿勢には、小さくとも希望を見いだすことができます。

いよいよ、来週末に向けて、世界の命運をかけた交渉が行なわれます。

私たちWWFのメンバーも、各国の政府代表との非公式な面会や、ロビーでの交渉官との折衝、メディアへのメッセージなど可能な限りのアクションを通じて、COP21を成功に導きたいと思います。

会議場のモニターに映ったモルディブの政府代表。島国のモルディブはマーシャル諸島と同じく、海面上昇による気候変動の脅威にさらされています。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

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環境保全団体です。

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