オランウータンが生きるFSC(R)の森


こんにちは、自然保護室の小林です。
先日ボルネオ島のインドネシア領、カリマンタンに行って来ました。

今回訪問したのは、とある企業が所有しているFSC認証を取得した天然林です。

この森はFSC(R)の基準に則り、環境に配慮した方法で木材の伐採が行なわれている森林なのですが、なんと、オランウータンが生息していることが分かっています。

オランウータンのネスト(赤丸のとこ)

今回見せていただいた区画では、野生の個体を実際に観察はできなかったものの、オランウータンのネスト(寝床)をいくつも観察することが出来ました。

他にも地上性の大型の鳥セイラン(Great Argus)の羽が落ちていたり、ヒゲイノシシの「ぬた場」があったり、マムシの仲間らしきヘビと遭遇したりと、木材の生産が行なわれている森の一部であるにもかかわらず、生き物の気配を感じました。

実際、切り出す木材の量を調整したり野生生物への配慮をするなどして適切に管理されている天然の伐採林は、多くの野生動植物の生息地として機能することが出来ると考えられています。

森で出会った巨木。とても綺麗でした

特にボルネオオランウータンの場合は、その生息頭数の7割以上が保護区の外に分布していると言われており、その多くは天然の伐採林なのです。

つまりオランウータンを保全する上で、それらの森で木材を生産している企業が果たす役割は非常に重要と言えます。

私たちは今回訪問した企業とも、オランウータンの生息調査を行なうための議論を行ない、保全に向けた協働を模索しています。

セイランの羽。目玉のような模様がよく見えます。

私たち人間の生活に必要な木材の生産と、オランウータンをはじめとした野生動物の保全。この2つが両立できるように、これからも取り組みの進展を目指してゆきたいと思います。

ヒゲイノシシのぬた場

地球から、森がなくなってしまう前に。

森のない世界では、野生動物も人も、暮らしていくことはできません。私たちと一緒に、できることを、今日からはじめてみませんか?

今日、森林破壊を止めるためにできること

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自然保護室(淡水)
小林 俊介

修士(動物学・京都大学)
京都大学在学時にボルネオ島での野生動物の行動学を専攻。ボルネオの豊かな生物層の魅力を知るとともに農園開発などの環境課題の大きさを実感する。2013年にWWFに入局。ボルネオ島での絶滅危惧種保全、持続可能な森林・農園管理、ESDなどの活動を担当。2018年よりサンゴ礁保護研究センター長。サンゴ礁保護研究センターの地元移譲を経て2021年から現在まで淡水グループ繊維担当と、海洋グループ白保担当を兼務。

子供のころからの動物好きが高じて、東南アジアでの野生動物の研究に携わった後、WWFへ。森林、海洋、淡水と様々な分野を担当し、持続可能な資源管理を中心に海外・国内のフィールドにも携わってまいりました。フィールドで豊かな自然とそれを守るために頑張っている仲間たちと交流するのが何よりの楽しみです。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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