こんな場所にもドローンが!?自然保護のフィールドで活躍中


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

最近、とかく話題になっているドローン。
とんでもない場所にも姿を現し、墜落して問題に、というニュースが相次いでいます。

「空」という、ルールに乏しい広い場所を動き回り、しかも搭載したカメラが「目」の役目を果たすこのドローンが、さまざまな可能性を持つことは、よくも悪くも注目に値するといえそうです。

実はこのドローン、海外では自然保護活動のフィールドでも使われています。

 

先日、WWFロシアの仲間たちから、こんな動画をもらいました。極東ロシアの湿原に生息するコウノトリを、ドローンを使って調査しているものです。

コウノトリは高い木や電柱の上に巣をかけますが、その様子を観察するため、ドローンが使われているのです。

送られてきた動画は、繁殖期が終わった後の試験飛行の様子らしく、コウノトリの姿はありませんでしたが、人が実際に登って巣に接近したりせず、それでいて地上からでは観察できないヒナの数が確認できるのは、大きな利点です。

今後、卵やヒナの姿が見ることができるかもしれません。

 

一方、インドネシアでは、もっと厳しい状況の中で、ドローンが活躍しています。

破壊的な森林伐採が行なわれている現場に、空から接近し、その様子を撮影しているのです。

こうした場所では、伐採企業の警備員などが立ち入りを阻んでおり、保護側の人たちが危険なトラブルに巻き込まれることもあります。

ドローンで撮影した、ボルネオ島カリマンタンの伐採地。

そのため、ドローンを使った破壊の監視が、一つの有効な手段になっているのです。

道具はその使い方によって、黒にもなれば、白にもなります。

興味本位にかられて、町の狭い空を飛び回るのは言語道断ですが、鳥たちのいとなみを見守り、森の破壊を食い止める一助となるならば、ドローンもその力を発揮する甲斐があるといえるかもしれません。(自然保護室:川江)

泥炭林に水路を引いて、水を抜き、伐採と植林が行なわれる。この水路は伐採した木材を運ぶルートにもなっている。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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