シベリアトラの調査を追う!メディアツアーをやります


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

自然保護室の川江です。
今月1日から15日にかけて、極東ロシアでは10年に一度の大規模なシベリアトラ(アムールトラ)の調査が行なわれました。

対象となった地域は、沿海地方南部からハバロフスク地方、さらにアムール州などを含めた、北海道の倍近くに匹敵する広大なエリアです。

ここで2,000名を超える調査員が、足跡をはじめとするトラの痕跡を追って、道なき雪山、森の中を踏査しました。

しかし、調査の方法上、いくつかの場所では、もう一度調査をし直す必要があります。

たとえば、仔トラを連れた母トラの行動です。調査地によっては、過去に親子の足跡が確認されていたのに、今回の調査では見つからなかった地域がありました。

多くても500頭ほどといわれるシベリアトラにとって、生まれた仔がどれくらい無事に育っているかを調べることは、非常に重要です。

再調査ではこうした場所を重点的に調べる予定にしています。

また、今回WWFロシアでは、この再調査に合わせて、マスメディアの関係者に同行いただくメディアツアーも実施することにしました。

直接、野生のトラの姿を撮影するのは、非常に難しいと予想されますが、調査の現場を見ていただき、それを世界中に発信してもらうことは、保護活動の意味と大変さを広く知っていただく上で、重要な取り組みです。

ツアーでは、自動車やスノーモービルを使いつつ、また場所によっては歩いて、トラの足跡を探す予定のほか、必要に応じて調査用の自動撮影カメラを仕掛け、夜間に行動しているトラの姿を追います。

ツアーの実施場所は、やはり過去の調査で確認されたトラの足跡が今回見つからなかった場所です。メディアの方が同行する再調査で、こうした足跡が見つかることを期待しています。

日本のメディアも数社参加を希望しており、私も現地に入る予定ですので、また現場からのご報告が出来ればと思います。

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自然保護室長(森林・野生生物・マーケット・フード・コンサベーションコミュニケーション)、TRAFFICジャパンオフィス代表
川江 心一

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修士課程修了。
小学生の頃に子供向け科学雑誌の熱帯雨林特集に惹きつけられて以来30年間、夢は熱帯雨林保全に携わること。大学では、森林保全と地域住民の生計の両立を研究するため、インドネシアやラオスに長期滞在。前職でアフリカの農業開発などに携わった後、2013年にWWFに入局。WWFでは、長年の夢であった東南アジアの森林保全プロジェクトを担当し、その後持続可能な天然ゴムの生産・利用に関わる企業との対話も実施。2020年より現職。

小学生の頃に科学雑誌で読んだ熱帯雨林に惹きつけられると同時に、森林破壊のニュースを知り「なんとかしなきゃ!」と思う。以来、海外で熱帯林保全の仕事に携わるのが夢でしたが、大学では残念ながら森林学科に入れず・・。その後、紆余曲折を経て、30半ばにして目指す仕事にたどり着きました。今でもプロジェクトのフィールドに出ている時が一番楽しい。

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