常夏の島サモアから、カツオとメバチのお話


南太平洋の島国サモアより、自然保護室の山内です。
ここで開かれていた、中西部太平洋のマグロについての国際会議「第11回WCPFC年次会合」が、いよいよ最終日を迎えました。

マグロといえば、とかくクロマグロ(本まぐろ)が注目されがちですが、実は重要な議題の対象となっているのは、カツオやメバチ。

メバチ

特にメバチについては、過剰な漁獲によって、資源量がかつての16%にまで減少していることが、この8月、科学委員会により報告されました。

それでも、保全のための有効な管理がなされない理由は、メバチの資源保全が、カツオ漁と大きな関係があるためです。

カツオは主に「まき網」と呼ばれる方法で漁獲されますが、その際、多くの小さなメバチを一緒に漁獲してしまいます。

自国の沿岸を含み、また遠洋漁業国である日本にとって、中西部太平洋は重要な海域です。

そのため、カツオの漁業管理は、メバチ保全のために集魚装置(FADs)の使用を規制するなど、対応を求められるようになりました。

カツオ自体の資源管理も必要な中で、こうした規制の導入は、カツオ資源を主な収入源とする南太平洋の島嶼国に苦しい決断を迫る要因となっており、資源回復のための国際交渉を足止めする大きな課題にもなっています。

もちろん、メバチから最も多くの利益を得ているアジアの延縄漁業も、漁獲量を適切に削減し、率先して資源回復に努めなくてはなりません。

何よりメバチは、日本人が消費するマグロの40%近くを占めるマグロ。これは漁業者だけではなく、消費者にとっても無視できない問題です。

どの国が正しいとか悪いとか、カツオだけを扱っているから自分たちは関係ないとか、そういった単純な構図ではなく、加盟国が一丸となって取り組まなくてはならないメバチの問題。

サモアで開かれいるWCPFCの会議の様子

国益を超えた歩み寄りと協調を心から期待しながら、残りの半日でどこまで解決出来るのかを見守りたいと思います。

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