どうなるの?ゾウ保護のゆくえ


みなさんこんにちは。今週、スイスのジュネーブで開催されている、ワシントン条約の会議(第65回常設委員会)に参加しています。

予想外の雨で気温も低く、会場内も冷え込んでいて、毎日ありったけの洋服を着こんで議論を追っています。

昨日は冷え切ったからだを温めるため、スイス名物のチーズフォンデュをいただきました。とてもおいしかったです。でも物価が高い...

今回の会議は、2013年3月にタイで開催されたCOP16をフォローアップするもので、日本政府の代表団も参加しています。

議論の目玉は、密猟の危機にさらされているアフリカゾウ。

会議では、ゾウや象牙の関係国がCOP16で合意した、緊急行動計画の作成・実施状況が、レビューされており、特に問題の大きいとされた国々の改善努力と進捗が報告されています。

しかし、トラフィックが先週発表した最新調査では、密輸象牙の最大の消費国の一つタイの国内市場で、状況がさらに悪化していることが判明。

スイスでの会議の様子。この常設委員会の会議は、2、3年おきに開かれる締約国会議の間をつなぐ形で、個々の議題について深く話し合うため、毎年開催されています。

会議ではこれを受けて、EUやアメリカをはじめ各国の代表が、緊急対処の必要性に言及することになりました。

私たちからもこれについて直接、日本政府に情報を提供。
会議では日本からも「関係国による更なる努力が必要である」との発言があり、象牙をめぐる問題で、どのような立場を取るのかを世界に問われている国の発言として、注目を集めました。

こうしたタイムリーな調査報告や情報提供を通じて、議論を舞台裏でサポートすることは私たちのような団体の重要な役割の一つです。

会議は11日まで、現在も集中的な議論が続けられています。

トラフィックは世界の野生生物の取引を監視するWWFとIUCNの共同プログラムです。その日本支部であるトラフィックイーストアジアジャパンは、WWFジャパンの野生生物取引監視部門として活動を行なっています。

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自然保護室(野生生物)
北出 智美

修士(生物学、生物多様性マネジメント)
国際的な自然保護に携わることを目指し、カナダのブリティッシュコロンビア大学で生物学を専攻。遺伝子レベルの進化と多様性に魅せられアルバータ大学でシカの遺伝子の研究を行なった。国際NGOでの就職を目指しオックスフォード大学で生物多様性マネジメントを履修し、帰国後外務省任期付職員として環境条約に携わる部署に勤務した後、2013年にWWFジャパンに入局。WWFでは野生生物取引に特化した活動を行うTRAFFICで活動し、2020年より現職(2018年からTRAFFICジャパンオフィスの代表も務める)。

「野生生物取引」の問題は、SNSで話題のカワイイの野生動物ペットから、犯罪組織と巨額のマネーがからむ密輸の問題まで本当にダイナミックで、活動の切り口も様々。日々、新しいことを学びながら、今、自分たちがやるべきことは何かを考え抜き、行動したいと思っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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