国連気候変動ボン会議。第2週目の始まり


ドイツのボンより温暖化・エネルギー担当の山岸です。
国連気候変動会議の第2週目が始まっています。

金曜日が最終日なので、そろそろ会議の着地点が見えているといいのですが、やっぱりというか、いつもの通りというべきか、まだ見えておりません。

新しい国際枠組みについて議論をしているダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)では、会議の最終成果物としてきちんとした形の合意文書を作るか、それとも簡単な議論のまとめにすることにして、もう少し自由な議論をするかで、相変わらず途上国と先進国の間で意見に隔たりがあります。

今日、さらにやや心配な兆候が出てきました。

太平洋の島国等からなるAOSIS(小島嶼国連合)が提案をしている、「再生可能エネルギーと省エネルギー分野に着目して、国際的な経験等を共有することで、削減努力の底上げをはかろう」という案について、中国、ベネズエラ、サウジアラビア等からなる一部の途上国のグループが、表向きは賛成しながらも、よく聞くとやや難色を示しているととれる発言をし始めたのです。このAOSIS提案は、先進国も前向きになっているところだったので、ここでまた話しがこじれると、非常にやっかいです。

同僚の中には、それほど気にならなかったという人もいるので、私の杞憂であるといいのですが...

さて、私は会合を傍聴しつつ、午後にサイドイベント、つまり公式な交渉とは別の、研究機関などが開催するセミナーに、パネルディスカッションのパネリストとして参加してきました。クリーン開発メカニズム(CDM)の将来、というやや専門的なテーマだったのですが、多くの人が集まり面白い議論でした。こういうイベントも、各国の政府代表との貴重な交流機会です。

会議終盤、非公式会合と呼ばれる密室会議が増え、NGOがきちんと傍聴できる会議が減ってきているのですが、情報を集めて、働きかけは続けていきたいと思います。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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