ドーハCOP18にて 日本が2度目の化石賞


カタールのドーハより、温暖化担当の小西です。
12月4日の午後から閣僚級会合が始まりました。ドーハに到着した各国の大臣は、3分という制限時間を超えて、自国の温暖化対策を訴える演説を続けています。午後にはいよいよ、日本の長浜博行環境大臣の順番がめぐってきました。

気候変動問題に取り組む700以上のNGOがつくるCAN(気候行動ネットワーク)インターナショナルは、この日の朝発行したニュースレターに、長浜大臣への期待をあらわす記事を掲載しました。しかし、その期待は失望に変わり、日本は世界のNGOから2度目の「化石賞」を受けることになりました。

理由は3つあります。

まず、「東日本大震災にもかかわらず、日本国民は気候変動問題に取り組む意欲を失っていない」と述べながら、2020年までに1990年比で25%減という自主的な削減目標について全く触れず、2020年目標について言及すらしなかったこと。

次に、産業革命前に比べて2度未満に抑えるため、現時点では大幅に足りない世界全体の削減目標をいかに引き上げていけるか、という今回の交渉の一番の焦点に触れなかったこと。

そして、「途上国への資金支援を来年以降も切れ目なく行なっていく」としながらも、COP18の合意に不可欠な資金問題に関して、具体的な拠出金額に明言しなかったこと。

つまり、長浜大臣の演説には、COP18の成否を左右する「削減目標・温暖化対策の緊急性・資金」という最も大切な3つの問題に関する具体的な発言がなく、失望が広がったのです。世界の環境NGOは、この「3つのノー」に「ノー」を突きつけ、化石賞2位を与えました。

それは、温暖化を防ぐための合意形成に貢献するため、日本に姿勢を変えてほしい、という世界からのメッセージでもあります。交渉は目下、最終日の合意をめざし、日をまたいで続けられています。COP18も残りわずかです!

20121206cop18d.jpg

閣僚級会合で演説する長浜博行環境大臣

20121206cop18e.jpg

初日に次いで、日本は2度目の化石賞を受賞した

20121206cop18f.jpg

夜が更けても会議は続きます…

 

この記事をシェアする

専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP