COP18終了目前 資金問題で交渉の前進を!


「この温暖化した世界で/気候を救うために/わずかなお金があれば/私は何でもできるのに」

カタール・ドーハのCOP18の会場に、なつかしいメロディーが響き渡りました。

70~80年代に、世界を魅了したスウェーデンのロック・グループ、ABBAの代表作「マネー、マネー、マネー」。WWFのスタッフは、その替え歌をつくり、歌と踊りで資金問題の解決を訴えたのです。

温暖化の影響を強く受ける多くの途上国では、温暖化に「適応」すると同時に、低炭素社会への移行を図らなければなりません。そのためには巨額の資金が必要です。

これについて先進国は、2020年からの長期資金として毎年1000億ドル単位で必要となることを認識しましたが、2013年~2020年までの資金は何も約束されていません。途上国側は2020年ごろに1000億ドル単位で拠出されるためには、2013年から2020年まで には毎年拠出金額がアップされていくべきだとしています。

でも6日の段階で、具体的な拠出金額を発表した国はイギリス、ドイツ、デンマークなどヨーロッパの一部の国々のみ。先進国と途上国の対立が続いています。

この対立を解き、資金問題の重要性を訴える活動が、会議終盤を迎えた会場で展開されています。

WWFを含む6つの国際環境NGOも、COP18の決裂を回避するよう求める緊急記者会見を行ない、あらためて資金問題の解決を訴えました。

今年も世界では異常気象が頻発しました。COP18の会議中にも、台風24号がフィリピンを直撃。多くの人命を奪い、今なお約20万人が不安に脅えながら避難しています。

COP18の終了予定は、本日7日。先進国と途上国が信頼を構築し、停滞する交渉を前進させるためにも、日本を含む先進国が資金問題で前進を図るべきです。(温暖化担当・小西)

 

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歌と踊りで資金問題の解決を訴えるWWFのスタッフたち

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6日、「資金は未来だ」と訴えるユースの若者たちが繰り広げた無言のパフォーマンス。床に横たわり、先進国が資金を拠出しなければ、途上国の貧困層は甚大な被害を受けると訴えています。

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「先進国は銀行の救済に12兆ドル費やしたのに、温暖化防止にはお金を出さない」というアピール

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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