COP17 合意は成るも、温暖化防止の視点からは?


温暖化担当の山岸です。南アフリカ・ダーバンからの最後の報告です。
11月28日より開催されていた国連の気候変動会議COP17/CMP7は、ようやく現地時間で12月11日早朝に終了しました。厳しい交渉が続き、9日までの会期は大幅に延長され、その結果、大きく以下の4つについて合意が達成されました。

  • 京都議定書の第2約束期間の設立
  • 2015年までのできるだけ早い時期に、新しい将来枠組みを採択するためのダーバン・プラットフォームの設立
  • グリーン気候基金の設立と運用
  • カンクン合意の具体化と実施
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多国間の枠組みが継続されることになり、発展の道筋が出来たことは極めて重要ですが、気候変動抑止の観点からは、温室効果ガスの排出量削減の水準は不充分な内容と言わざるをえません。

今回の合意を受けて、将来枠組みの構築へ向けての交渉を急ぐ一方で、各国の削減水準を引き上げて、少しでも温暖化の抑止に必要な削減量に近づけていく作業が求められます。

日本は、今回は京都議定書の第2約束期間への参加を拒否したことによって、事実上、2013年以降、国際枠組みの中での正式な目標設定がない状況となります。自主的に掲げている目標をチェックする仕組み(測定・報告・検証)は作られましたが、今後、どれくらい本気で国内の削減を実施していくかで、国際社会の中での信頼にも影響が出そうです。

2012年1月10日に、ダーバン会議の報告会を開催いたします。条約交渉を追っている環境NGOが会議の成果について評価し、危険な気候変動を食い止めるために何が求められているのかを考えたいと思います。ぜひ、ご参加ください。

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自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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