不可能を可能にした国、南アフリカでのCOP17


温暖化担当の小西です。
厚い雨雲がすっかり姿を消し、空が晴れ上がりました。COP17が初日を迎えたここ南アフリカのダーバンは、会議の開幕を祝福するかのような、さわやかな朝を迎えました。

開会式では、COP16で議長をつとめ、カンクン合意をまとめあげた、メキシコのパトリシア・エスピノサ外務大臣や、COP17の議長である南アフリカのマイテ・ヌコアナ=マシャバネ国際関係・協力相などのスピーチが続きました。

そして、UNFCCCのクリスティアナ・フィゲレス事務局長と、南アフリカのシェイコブ・ズマ大統領は、世界に新しい歴史を切り開いた、南アフリカにゆかりのある2人の人物をそれぞれ紹介し、参加者の心に希望の灯をともしました。

この2人とは、アパルトヘイトを廃止に導き、後にノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラ、そして、インドを独立に導いたマハトマ・ガンジーです。

イギリスに留学後、南アフリカで弁護士として働いていたガンジーは、白人ではないことを理由に列車から降ろされたことがありました。この経験がガンジーをインド系住民の権利向上、そしてインド独立へと向かわせたのです。

「当時は誰も、彼らが描いていた理想が実現するとは想像さえできませんでした。しかし、不可能と思われたことは可能になりました。それを実現した国が南アフリカなのです」

これから始まるCOP17の交渉も、「京都議定書に続く新しい約束がなくなるかもしれない」という危機を抱えています。

しかし、フィゲレス事務局長とズマ大統領はともに、このマンデラとガンジーの功績を引き、「強い意思があればどんな困難も乗り越えられる、気候変動という世界の課題を解決する国際合意をこのダーバンで実現しよう」という強いメッセージを発しました。

前夜から降り続いた雨がこれまでの対立を洗い流し、温暖化のない未来に向けた建設的な交渉が始まることを期待します。

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COP17議長の南アフリカのマイテ・ヌコアナ=マシャバネ国際関係・協力相

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開会式は、座席数に制限のある会場にはすべての人を収容することができないため、参加者の大半は会場内に設置されたモニターを見つめ、スピーチに聞き入ります。

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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