地球上に500人しか人間がいないとしたら?


自分を含めて、この全地球上に500人しか人間がいないとしたら?

自分は何をし、何のために生きるだろう。

絶滅のおそれのある野生生物について、いろいろ調べていると、ついそんなことを考えてしまうことがあります。

ダマガゼル。この動物の姿を捉えた写真が、どれほど貴重なものか。それは、世界に500頭、というこの動物の数が教えてくれます。

会報誌『WWF』に、ダマガゼルのことを書くため調べていたところ、こんな話が出てきました。

内戦の続いていたスーダンで、ダマガゼルを含めた多くのアンテロープやノガンが、しばしばスポーツ・ハンティングの犠牲になっていた、というのです。ハンティングをしていたのは、中東のお金持ちたち、だったそうです。

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内戦が起きているような国や地域では、野生動物が食用に殺されることがあるのは知っていました。ですが、こうしたハンティングのツアー?のようなものが行なわれているとは、知りませんでした。

これは憶測でしかありませんが、こうした戦闘地域での催しは、武力闘争を続けるどこかのグループの、資金源になっているのかもしれません。

自然や野生生物を守るための政策や、保護区などの機能や人材も、戦争がひとたび起きれば、全て無になってしまう。その罪と、犠牲の大きさを思わずにいられません。

たまに、人間と動物と、どちらが大事か? という問いを聞くことがあります。ダマガゼルのような動物の場合、人が安心して生活できる状況でなければ、保護は難しいのが現状です。人の未来と、自然の未来が、確かに重なっていることを、この動物は教えてくれる気がするのです。(三間)

 

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。

虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。

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