トラサミット開催国の決意が大きな一歩に!


※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。

森林広報の古澤です。先週は、ロシアで開催されていたトラサミット関連のお知らせをしましたが、その続報です。
ロシア政府が「チョウセンゴヨウ」という木の伐採禁止を発表しました!

チョウセンゴヨウはベニマツ(紅松)とも言われる、マツの木の一種です。

これがどうして「トラサミット」の続報なのかと言うと、チョウセンゴヨウは、アムール(シベリア)トラの生息する、極東ロシアの森林生態系を支える貴重な木だからです。

チョウセンゴヨウの実は、いわゆる「松の実」で、昔から中国や日本の料理でもおなじみの食材です。
そのため地元では、採る人の収入源となってきたほか、イノシシやシカなどの草食動物にとっても、栄養価の高い貴重な食物でした。

ところがこの木は、木材としても需要が高く、日本など海外に輸出するためロシアでは伐採が進み、森の自然への悪影響が心配されてきました。

チョウセンゴヨウがなくなってしまったら、その実を採集してきた人間はもちろん、森の草食動物や、それを捕食するトラやヒョウなどの肉食動物も影響を受けるからです。

というわけで、今回のロシアでのチョウセンゴヨウの伐採禁止令は、極東ロシアの森林を守る上で、期待のできる大きな一歩になりそうです!
トラが生きられるような豊かな森、これからも守っていきたいと思います。

「五葉の松」という言葉がありますが、チョウセンゴヨウも漢字で書くと朝鮮五葉となります。「五葉」の語源は、針のような葉が5枚でひと束になっているから、とか?

 

 

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自然保護室(森林グループ所兼 マーケットグループ長)
古澤 千明

大学卒業後、民間金融企業での勤務を経てWWFジャパンに入局。2010年より主に東南アジアの森林保全プロジェクトを担当。インドネシアやメコン地域などのWWFオフィスとも連携しながら、森林減少の要因となっている農林産物の生産について、関係企業に生産現場の課題を伝えたり、調達改善のための支援に取り組む。2021年からは、マーケットグループ長も兼任し、森林保全の枠を越えて企業のサステナビリティの向上に努める。

幼いころから自然や生き物への興味はありましたが、WWFとの出会いは偶然でした。自然科学や生物のスペシャリストではない自分だからこそ、得られる理解・賛同もあると信じつつ、そうは言っても日々勉強です。

人と自然が調和して
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環境保全団体です。

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