「種の保存法」改正!3年後の見直しに期待


2013年6月4日、国会で「種の保存法」の改正法が成立。1992年の法律成立後、20年にわたり改正が求められていた要点のいくつかについて、改善が実現しました。これは、WWFジャパンをはじめとするNGO各団体や学会、法曹界によるさまざまな提言に、環境省が真摯に耳を傾け、また同法に関心を寄せる与野党各会派の議員が立法府として責任ある対応をした結果によるものです。いまだ懸念される点は残るものの、今回の改正法では3年後の見直し規定も設けられており、「種の保存法」本来の目的に則した、今後の継続的な改正につながることが期待されます。

成立した「種の保存法」の改正法

日本の野生生物保護にかかわる、重要な法律である「種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」の改正法が、2013年6月4日に成立しました。

これにより、同法について、成立以来20年にわたり指摘されてきた懸念点が、いくつか改善される見込みとなりました。

当初、2013年はじめの時点で示された改正法案では、罰則の引き上げ以外に評価すべき点がほとんどありませんでしたが、最終的には附帯決議を含めると、多くの点が改善される形になりました。

参議院・衆議院の両院の環境委員会において、全会一致で採択された附帯決議には、法的拘束力はないものの、立法府が改正法案を通すためにつけた条件とも言えるもので、誠実な履行が期待されます。

改善された主な点は、以下の事項です。

  1. 目的条項に「生物の多様性の確保」が明記されたこと(第一条)
  2. 国の責務に「科学的知見の充実を図る」が追加されたこと(第二条)
  3. 「教育活動等により国民の理解を深めること」が追加されたこと(第五十三条)
  4. 3年後の見直し規定が設けられたこと(附則第七条)
  5. 罰則が、個人においては5年以下の懲役または500万円以下の罰金と大幅に引き上げられたこと。法人については1億円以下の罰金と規定されたこと(第五十七条、第六十五条等)
  6. 希少野生動植物種の個体等の販売または頒布目的での広告(インターネット、紙媒体とも)が禁止されたこと(第十七条)

特に、「種の保存法」でその保護が義務付けられる「希少野生動植物種」の指定については、過去20年間に90種が指定されたのみであったものが、「2020年までに300種を新規指定することを目指す」こととなり、きわめて意欲的な目標が掲げられることになりました。

上記の点を含む改善の多くは、WWFジャパンをはじめとするNGO各団体や学会、法曹界による指摘・提言に、環境省が真摯に耳を傾けたこともあり、実現されました。また、同法に関心を寄せる与野党各会派の議員が、立法府として責任ある対応をしたことも、この改正法の成立につながりました。

なお、今後の改正については、今回定められた「3年後の見直し」に向け、今から附帯決議に盛り込まれた内容の検討を開始し、3年後には検討を終えていることが、立法府からの要請となっています。「種の保存法」が将来にわたり、その目的にかなうよう改善されていくことが期待されます。

記者発表資料

くわしくはこちらをご覧ください。

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国内希少野生動植物種に指定されている生物。上からアマミノクロウサギ、ウミガラス、オジロワシタンチョウ(C)WWF Japan

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