日本の「省エネ」を後退させてはいけない


現在、地球温暖化の防止にも大きく関係する、「省エネルギー政策」を見直す議論が進められています。しかしその内容は、エネルギー消費量の詳細な情報公開の義務をゆるめるなど、省エネ政策を進める上でマイナスになる要素を含んでおり、今後の改善を期待させるものになっていません。WWFを含む環境5団体は2012年2月3日、現行の「省エネ法」の見直し案が、新しいエネルギー社会を築く基には到底なり得ない、時代に逆行するものとして、抜本的な修正を求める意見書を、枝野幸男経産大臣に提出しました。

時代に「逆行」する経産省・省エネルギー部会での議論

日本国内のエネルギー政策の見直しの一環として、現在「省エネルギー政策」の見直し議論が進んでいます。

議論を進めているのは、経済産業省・総合資源エネルギー調査会の省エネルギー部会。ここで、2011年3月の東日本大震災、そして福島原発事故と夏の節電対策を受けた、電力需要のピークに対する対策を検討する一方、いくつかの個別分野についても、省エネ対策の強化を議論しています。

しかし、現在の議論の内容は、これからの時代に求められる、新しい省エネ社会を構築してゆく上で不十分であるだけでなく、逆行する要素すら含んでいます。

たとえば、エネルギー消費量の報告義務について。現状では事業所ごと(工場ごと)となっているものが、事業者ごと(企業ごと)でもよい、とする内容が検討されています。

本当は、今こそ、より詳細なデータをきめ細やかな省エネ施策に活かし、データの公開を通じた、建設的な「省エネ競争」を奨励すべき時期。それにもかかわらず、現状のデータ収集の仕組みを簡素化し、情報の詳細を公開を止めてしまうという、進むべき方向と、まるで反対のことが行なわれようとしています。

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今こそ「省エネ」の時!

2011年夏の節電の経験から、全国的にも省エネへの関心が高まっている今こそ、省エネを大きく促進し、今までにない目標に対するチャレンジを掲げるべき時です。

2012年2月3日、地球温暖化やエネルギー問題に取り組む、5つの団体(環境エネルギー政策研究所(ISEP)、気候ネットワーク、グリーンピース・ジャパン、FoE Japan、WWFジャパン)は、共同で要望書を枝野幸男経済産業大臣および、担当の茂木正省エネルギー課長に送付しました。

これは現在、資源エネルギー庁の下で開催されている、総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会で審議されている「今後の省エネルギー政策の展開」に対する意見書です。

この省エネルギー部会で検討中の「省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)」の改正案は、東日本大震災および福島第一原発事故を受けて高まっている、省エネの必要性に応える内容になっていません。5団体の意見書は、この案を抜本的に見直すよう求めるものです。

省エネルギー部会の次回会合は2012年2月7日に予定されていますが、その後のわずかの時間で拙速に案を取りまとめ、「省エネ法」改正の閣議決定を急げば、この不十分な内容がそのまま成立するおそれが大きくなります。

5団体は、枝野大臣のリーダーシップに基づき、これから必要となる省エネのあり方を抜本的に見直すよう、政府に要望しつつ、引き続き審議を注視し、省エネ政策の強化に向けた活動を展開する予定です。

 

 

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