メキシコへの道は見えたか?ボンでの温暖化防止会議報告


2010年8月2~6日まで、ドイツのボンで国連の温暖化防止会議が開催されました。この会議は、2010年末にメキシコのカンクンで開かれる会議(COP16)へ向けた重要なステップと目されていました。カンクン会議では「京都議定書」に続く温暖化防止に向けた、世界の新たな「約束」の行方が問われることになっています。

遅々とした会議の流れ

2010年8月2~6日まで、ドイツで国連気候変動枠組条約ボン会議 3rdが開催されました。

今回の会議は本来であれば、2010年末にメキシコのカンクンで開かれる国連の温暖化防止会議(COP16・COP/MOP6)で「何が合意されるべきか」ということが、少しでも見え始めていなくてはならない会合でした。

メキシコのカンクン会議は、2009年末のコペンハーゲン会議(COP15)で各国が形に出来なかった、「京都議定書」に続く世界の新たな温暖化防止の「約束」の行方が問われる会議です。

しかし、今回のボンでの会議はなかなか目立った進展を見せず、先進国と途上国の間の溝も、あらためて表面化するなど、非常に難しい交渉となりました。

NGOの主張「カンクン・パッケージ」

そのような中で、WWFも参加している気候変動関係のNGOの国際ネットワークCAN(Climate Action Network)は「カンクン・パッケージ」を発表しました。
これは、カンクン会議で各国がどのような合意を交わすべきか、現時点でのNGOの考えを明らかにしたものです。

これを、発表した時、ある国の政府代表団のメンバーは「ずいぶんと野心的な合意内容で、できるかどうかはわからない」と感想を述べました。

しかし、その「野心的な内容」は、本来ならば2009年のコペンハーゲン会議の時点で合意されているべき内容でした。すなわち、「京都議定書」に続く新たな議定書が、2011年の南アフリカ会議(COP17)で実現できるように、それに向けた確実な合意を、各国がカンクン会議で交わす、というものです。

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会議場の様子(上)とNGOによる発表

世界の意思が問われている

 ボンでの会議の期間中にも、ロシアを記録的な熱波が襲い、中国では大規模な記録的な洪水が被害を出し、パキスタンの洪水では少なくとも1400人が死亡し、100万人が影響を受けたといわれています。

こうした現象が、本当に地球温暖化の影響に因るものかどうかは、後世の科学者の判断を待たねばなりませんが、このような未来を招くおそれのある地球温暖化を、世界が防いでゆくための合意は、たとえ「野心的」に見えたとしても、断固として目指さなければならないものです。

国連会議は、次回は10月に中国の天津で予定されています。年末のメキシコ会議へ向けて、各国の意志が問われています。

 

2010年国連気候変動枠組条約ボン会議 3rd 詳細報告

 

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