森林認証評価ガイドを国レベルで適用したインドネシアにおける森林認証制度の信頼性評価


FSCとLEIの比較

過去数十年間、WWFはインドネシアの森林管理を改善するために、活発に森林認証制度の普及活動を行なってきました。

1990年代初頭より、WWFインドネシアではLEI、WWFインターナショナルを中心にWWFネットワークではFSCという、インドネシアで取得することのできる二つの森林認証制度に関与してきました。この理由は、LEIがインドネシアで多様な利害関係者とともに立ち上がった時期が、FSCの立ち上げとほぼ同じ時期であったことに起因します。LEIの森林認証は、民間が立ち上げた他の多くの森林認証に比べて、時期的に先んじた取組です。

2006年7月~10月、WWFは利害関係のないコンサルタントと契約し、LEIとFSCを比較する調査を委託しました。この調査は、WWF内で両制度間の違いを理解するとともに、両制度がWWFが「信頼できる森林認証」とみなす最低限の基準である「森林認証評価ガイドForest Certification Assessment Guide (FCAG)」に適合しているかどうか評価することを目的としていました。 

調査結果

比較調査の結果、FSCとLEIは多くの点でFCAGの要求事項を満たしているものの、LEIの植林に対する認証には幾つかの根本的な弱点があることが分かりました。そのことにより、WWFはLEI認証製品の取引を積極的に推奨することができずにいます。LEIには、以下のような根本的な欠点があります。

植林予定地の一部が天然林であっても、植林に転換することが許されている。
LEIには生産、生態、社会という3つの大きな基準・指標があるが、いずれかの点数が高ければ、その他の基準に合致しない森林経営であっても認証取得の可能性がある。
LEIは、認証取得組織として持続可能な森林管理の原則を遵守することを要求していない。このことにより、ある企業の一部の森林で認証を取得し、その他の森林で天然林の転換のような受け入れがたい施業を行うことが有り得る。

LEI認証製品に含まれる非認証原料については、合法性の確認のみとなっており、伝統的・市民的権利、保護価値の高い森林、遺伝子組み換え樹種の確認が行なわれていない。 

関連情報

LEIとFSCを比較した報告書 Alexander Hinrichs & Agung Prasetyo (2007), “FOREST CERTIFICATION CREDIBILITY ASSESSMENT IN INDONESIA APPLYING THE FOREST CERTIFICATION ASSESSMENT GUIDE ON NATIONAL LEVEL”のリンクはこちら

http://assets.panda.org/downloads/certification_assessement_in_indonesia.pdf

仮訳はこちら(PDF形式)

 

注:

2009年11月、WWFインドネシアを含む複数のLEIメンバーは、LEIの理事会に対し、上記弱点を克服し、LEI認証制度を強化するよう以下の要請を行なった。

  • 2009年以降に天然林を植林に転換した場合、その植林地に対して認証を与えないこと
  • 認証にあたっては、生産、生態、社会のいずれの基準も遵守すること
  • 認証の対象となる森林だけでなく、森林を管理する企業全体として、天然林の転換、保護価値の高い森林の劣化、人権侵害のいずれも起こしていないことが保証されるときのみ、当該の森林に認証を与えること

 

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