住民主体で、黄海における環境の持続可能な利用と保全をめざす「韓国ムアン郡・地域振興型沿岸管理モデルプロジェクト」の開始


共同記者発表資料 2010年3月23日

 WWF(世界自然保護基金)/ パナソニック株式会社

WWF(世界自然保護基金)とパナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、中国と朝鮮半島に囲まれた海域・黄海の環境保全をめざし、2007年より7年計画で「黄海エコリージョン支援プロジェクト」を推進しています。このたび、韓国の全羅南道ムアン郡において、その第2ステージ(※1)となる「地域振興型沿岸管理モデルプロジェクト」(以下、モデルプロジェクト)が開始されます。このモデルプロジェクトの開始に当たり、本日14時より、ムアン郡庁舎において、WWF、KORDI(韓国海洋研究院)、ムアン郡海洋課による調印式とワークショップが行なわれます。

モデルプロジェクトは、ムアン郡の沿岸域(※2)で約3年(2010年3月~2013年3月)にわたり実施されます。地域住民が主体となって進められるプロジェクトであることが大きな特徴で、地元行政との連携を図りつつ、沿岸の漁業及び水産資源と、干潟の底生生物のつながりを科学的に調査し、環境の持続可能な利用と保全のために必要な対策の実施と、地元の水産物を活かした地域振興をめざします。

地域住民、ムアン郡、韓国の代表的な研究機関であるKORDI、地球環境保全団体であるWWF、企業として環境保全の推進をめざすパナソニックとの協働によって、韓国に地域振興型の沿岸管理計画が誕生し、持続可能な発展の先進例となることが期待されています。

  • ※1)第2ステージは、中国の黄海沿岸においても実施しており、本年2月に「鴨緑江沿岸・生態系ベース管理型モデルプロジェクト」として発足させています。
  • ※2)ムアン郡の沿岸域は、韓国で初めて国指定湿地自然保護区が作られた地域で、生物多様性に富む干潟が広がっています。2008年には湿地保全の国際条約であるラムサール条約にも登録され、持続可能な保全が望まれています。

【お問い合わせ先】 

WWFジャパン 黄海プロジェクト担当 東梅貞義/広報担当  佐久間浩子 (東京)03-3769-1713
パナソニック株式会社 コーポレートコミュニケーション本部 広報グループ (東京) 03-3436-2621 / (大阪) 06-6908-0447

 

参考情報

プロジェクトの概要

1)名称: ムアン郡地域振興型沿岸管理モデルプロジェクト

2)実施地: 韓国全羅南道ムアン郡沿岸

3)調印式

  • 日時:2010年3月23日(火)14時00分~18時00分
  • 場所:ムアン郡庁舎
  • 調印者:
    1.ムアン郡海洋課
    2.WWF(世界自然保護基金)
    3.KORDI(韓国海洋研究院)

4)プロジェクト関係者

  1. WWF:プロジェクト全般の管理と推進、技術指導
  2. パナソニック株式会社:プロジェクト資金の提供
  3. 全羅南道海洋水産局海洋港湾課:韓国の関係部局の調整と指導
  4. ムアン郡海洋課:管理計画の策定
  5. KORDI:市民モニタリングの指導、データの分析・まとめ
  6. 生態地平研究所(韓国の環境NGO):ムアン干潟の地域関係者コーディネート
  7. 地域住民組織:市民モニタリングの実施、地域振興策の作成と試行

5)プロジェクト資金: 約1,500万円 (パナソニック株式会社による単独支援)

 

黄海エコリージョン

黄海は、中国と朝鮮半島に囲まれた海域です。世界最大級の大陸棚を持つことから、きわめて高い生物の多様性を誇ると同時に、古くから豊かな漁場として利用されてきました。WWFは中国、韓国の環境関連団体との協力のもと、2006年に黄海の哺乳類、鳥類、貝類、魚類、沿岸植物、海藻類のデータをまとめ、優先的に保全すべき地域23カ所を選定しています。

黄海エコリージョン支援プロジェクト

中国、韓国、日本が協力して、黄海エコリージョンの生物多様性の保全と、持続可能な発展を図ることを目的とするプロジェクトです。パナソニック株式会社の支援を受け、2007年~2014年の7年計画で推進されています。プロジェクトは、2006年に選定された優先保全地域において展開されています。

  • 第1ステージ(2007年8月~2010年3月)
    中国および韓国の地域社会が主体となって行う普及啓発活動と、生息地保全活動を公募し、活動資金の助成と、経験や情報を交換する学びの機会の提供を行なう
     
  • 第2ステージ(2010年1月~2013年3月)
    中国・韓国でそれぞれ1カ所ずつモデル地区を設けて、国際基準の生息地管理手法を利用しつつ、3年間で地域の特性に合った保全の取り組みを、地域社会と協働で行なう
     
  • 第3ステージ(2013年4月~2014年9月)
    第1ステージの助成事業による事例と、第2ステージのモデル地区の成果事例をまとめ、中国・韓国をはじめ、世界に“アジアの里海共生モデル”を発信し、より広い地域で同様の取り組みの展開を呼びかける

WWF(世界自然保護基金)

WWFは、人と自然が調和して生きられる未来を築くため、約100カ国で活動している地球環境保全団体です。1961年にスイスで設立されました。現在は、森や海などの生物多様性を保全すること、木材や魚介類など、自然資源の利用を持続可能なものにすること、地球温暖化を防ぐことに力を注いでいます。

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社は、本プロジェクトが、環境分野の中の生物多様性保護を目的としており、日本・中国・韓国にまたがる活動であることから、WWFの主旨に賛同して、支援を行うことを決定しました。企業市民活動については、「育成と共生」を行動理念に、「次世代育成」と「環境」を重点分野として、継続性のある活動をグローバルに取り組んでいます。こうした考えに基づき、パナソニック株式会社は7年間という長期にわたって本プロジェクトを支援しています。

また、日本を含むアジア地域の企業としては初めてとなる、WWFインターナショナルの国際的な企業パートナースキームである「コーポレートサポーター」として、黄海エコリージョン支援プロジェクトを支援しています

現在、コーポレートサポーターとして、黄海エコリージョン支援プロジェクトの共同推進のみならず、森林保全の観点から日本におけるパナソニックグループ全体の紙のグリーン購入方針についてもWWFと意見交換を行ない方針に反映させるなど、包括的な環境保全活動に協力して取り組んでいます。

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