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責任ある林産物の購入

「責任ある林産物の購入(調達)」とは、使用する木材や紙の原料がどこの森林から、どのように伐り出されたのかを確かめ、森林破壊に荷担しないような木材製品を積極的に購入することです。大量の木材や紙を取り扱う企業や、それを利用する組織に対しWWFジャパンは、責任ある林産物の購入を提案しています。

重要度を増す企業の行動

世界の森林は、毎年およそ1,300万ヘクタールずつ減少しています。植林により森林面積の増えている国や地域もありますが、自然の生態系を育む天然林の消失は今も多くの地域で問題になっており、植林地の増大で相殺できるものではありません。
また、今残されている天然林についても、人が関与することで植生が変わってしまったり、道路などで分断されたりと、本来の生態系が破壊されている場合もあります。

森林が消失・劣化する原因の一つは、木材・紙の原料や、燃料として使用するための森林資源が、適切に管理されていないことにあります。
その端的な例が、違法伐採と呼ばれる、原産地の法令に反した森林の伐採。違法に伐採された木は、建材、家具や紙などの最終製品となり、日本国内でも流通していると考えられています。WWFでは、日本が輸入する林産物の6~20%が、違法伐採に関連すると推計しています。

森林生態系の保護と、持続的な森林資源の利用を両立できるかどうかは、それを取り引きし、利用している企業の行動によって、大きく左右されます。諸外国の森林破壊の問題を、現地の森林管理者や行政機関だけの責任とするのではなく、日本などの木材の大量消費国も責任をもって、適切に管理されている森林からの林産物(木材など)の購入を心がけ、その意志を表明してゆくことも、世界の森林を保全していく上で非常に重要なことなのです。

Photo(C) WWF-Canon/Andre BARTSCHI

Photo(C) WWF-Canon/Andre BARTSCHI

責任ある林産物の購入の進め方とは?

「責任ある林産物の購入」とは、使用する木材や紙の原料がどこの森林から、どのように伐り出されたのかを確かめ、森林破壊に荷担しないような木材製品を積極的に購入することです。

大量の木材や紙を取り扱う企業や、それを利用する組織に対し、WWFジャパンは、責任ある林産物の購入を提案しています。

では、責任ある林産物の購入は、どのように進めていけばいいのでしょうか?
WWFでは、以下の3つの柱を重要な要素と考えています。

1.林産物の調達方針を立てる

2.行動計画の策定

3.段階的なアプローチ

Photo(C)WWF-Canon / Edward PARKER

Photo(C)WWF-Canon/Edward PARKER

1.林産物の調達方針を立てる

「林産物調達方針」とは、どういう木材を調達する、あるいはしないかを明記した、組織を方向づける、公式の文書のことです。企業であれば、上位概念である経営方針や環境方針と整合させつつ、林産物の購入に特化して作成します。
責任ある林産物の購入は、組織の一部署だけの努力では決して達成できません。組織全体の方針として、自らが重要と考えるルールに基づいて立てる必要があります。

林産物の調達方針に記載されるべき例:

  • 経済・環境・社会面での合法性の確認、違法伐採材を購入しない
  • 保護価値の高い森林を破壊して生産された林産物を購入しない
  • 貴重な天然林を大規模に皆伐することによって生産された林産物を購入しない
  • 地域住民、生産従事者に対する社会的配慮の確認
  • 遺伝子組み替え樹種の植林木に由来する製品を購入しない
  • リサイクル材の有効利用
  • 方針の適用範囲
Photo(C)WWF-Canon/WWF-Switzerland/A. della Bella

Photo(C)WWF-Canon/WWF-Switzerland/A. della Bella

2.行動計画の策定

方針が定まったら、行動計画を策定します。行動計画で明らかにするのは、方針に書かれている内容を、具体的にいつまでに、どの製品について、どの程度実施するかといった、数値目標です。最初から全てを達成できない場合でも、段階的により高い目標を目指していくことが重要です。
行動計画では「SMART」な目標を繰り返し実施することで、行動計画が当初の予定通り達成されているかどうかを、組織の内外に示すことが可能になります。

  SMART とは

Specific (具体的な)
Measurable (測定可能な)
Achievable (達成可能な)
Realistic (現実的な)
Time-bound (約束した期間内に)  を意味します

行動計画の中でもっとも重要なことは、方針に反する、問題のある森林伐採に由来する木材ではないかどうかを確かめるための方法です。
調達方針に書かれた内容を確認する方法としては、FSCなどの信頼できる森林認証制度を利用する方法や、木材のトレーサビリティや確認方法を自ら確立し、生産者と共に確認する方法などがあります。森林認証制度の利用やトレーサビリティの確立は、調達方針の中に組み入れることも可能ですし、具体的な手段として行動計画に用いることも可能です。

Photo(C)WWF-Canon/Martin Harvey

Photo(C)WWF-Canon/Martin Harvey

3.段階的アプローチ

林産物の調達方針を実現するためには、環境や社会面に配慮し、より厳しい条件を満たす林産物の利用を、段階的に増やしていくことが必要です。このステップアップのためには、例えば以下のような手順を踏んで一つずつ確認してゆく方法が考えられます。

Photo(C)WWF-Canon/Edward PARKER

Photo(C)WWF-Canon/Edward PARKER

1.供給源が明らかな林産物
「供給源」とは、木材の伐採された森林のことを意味します。そもそも林産物の出所が分からなければ、適切に管理されている森林から出されたものかどうか、判断できません。責任ある林産物の購入が、実行できるかどうかのカギを握る、最初の過程として、木材を伐採した森林を追跡し確認することが必要です。

2.伐採権が確認された供給源からの林産物
購入する木材が合法的に生産されたものであるかどうかを確かめるのも、重要な要素です。このためには、木材の伐採や生産などにかかわる面だけでなく、環境面や社会面も含む全ての関連法を確認することが必要になります。しかし、そうした確認が直ちに行なえない場合は、その供給源となる森林に、伐採権など合法的な伐採の権利があるかどうかを確認する作業から開始して下さい。

3.「保護価値の高い森林」の維持が確かめられた供給源からの林産物
国や地域によっては、生態系や社会にとって貴重な森林が、合法的に伐採できてしまう場合があります。このような場合は、合法性の確認だけではなく、「保護価値の高い森林」を破壊しない形で生産された林産物を、自主的に選び、購入することが求められます。このような林産物の購入は、生物多様性や地域住民の権利を守り、管理されている森林の価値を守ることにもつながります。

4.信頼できる認証を取得した林産物、またはリサイクルされた木材
合法性や保護価値の高い森林の維持を第三者機関が確認する森林認証制度を利用することで、より信頼性の高い林産物の購入が実現できます。認証された製品が最終的な消費者に届くまでには、中間の加工・流通の過程でも、分別管理ができていることの認証を受けることになるため、多数の条件を要求するステップになりますが、この段階をクリアした林産物は、一般の消費者に対しても、環境や社会面で問題のない林産物であるということを明瞭に示すものとなります。
また、リサイクルされた木材資源は、資源を有効活用し、天然林に対する伐採の圧力を軽減するという意味で、利用の促進が引き続き求められます。

林産物の調達方針をただちに100%達成できなければ、責任ある林産物の購入を実現できないとあきらめてしまう必要はありません。

調達方針をまず作り、明確な約束と実現可能な計画のもと、改善を始めることが重要です。林産物の供給源に無関心でいつづければ、今後、違法伐採の取り締まりによる原材料の供給減少などに見舞われる可能性もあります。現在そして将来的にもますます、経営上の大きな問題になるでしょう。

むしろ、早期に対策を講じ、責任ある購入者となることで、環境保全と企業行動を整合させていくこと、そして林産物の責任ある購入を実践することは、企業や組織の価値を高めるチャンスでもあるのです。

関連資料

『責任ある林産物の購入』改訂版(PDF)

 

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