ボンでの国連気候変動会議が閉幕しました


ドイツのボンより、温暖化担当の小西です。
こちらで開かれていた国連の気候変動会議。最後の最後に、希望をつなぐ結果となりました。

今回のボン会議の焦点は、年末にフランスのパリで開かれる重要な国連会議(COP21)に向け、そこで各国が温暖化防止のために交わす約束の「合意文書」の案が、整理できるかどうか、でした。

その包括的な案を、次の8月び会合までに議長が作ることに、合意できたのです!

会議場の様子

2週間の会期中、各国はテーブルの上にある90ページもの文書案を前に、お互いに「あーでもない、こーでもない」と細かい言葉をひねくり回し、作業はほとんど進みませんでした。

しかも、パリのCOP21では、先進国と途上国の差を明確に定めていた「京都議定書」と異なり、全ての国を対象とした新たな合意を目指しています。

その中で、両者の差異化をどのように探っていくか等、この先さらに、大変な難題に答えを出していかねばなりません。

ですから本当は、さっさと文書案の整理は終えて、早くそうした難題の交渉に入る必要があるのです。

会期中に行なったCAN(クライメート・アクション・ネットワーク)による記者会見にて、日本の目標案についてお話しし、海外の記者からも質問を受けました。

「このままでは、パリに間に合わないのではないか?」各国がそんな不安を感じ募らせていた最終日のことでした。

共同議長が「次の8月の会合に向け、パリ合意の議長案を作ってもよいか」という提案をしたのです。

従来、議長案を作ることに対しては抵抗を示す国も多かったのですが、これしか前に進む道はない、という共通理解で、各国は最後に一致してそれを承認。議長に任せることとなりました。

もちろん、8月の会合で「議長の案が気に入らない」といって、また振出しに戻る可能性もあります。

WWFも参加している気候変動NGOのネットワーク、CANの設立25周年を記念して、国連から記念植樹の贈りものをいただきました。

それでも、何とか次に希望をつなぐ形で、今回のボン会合は終了することができました!

年末のパリに向けてますます盛り上がる温暖化防止の国際交渉。

7月2日に東京で予定している今回の会議の報告会では、その基礎から分かるようにお伝えしますので、ぜひご参加ください!

年末のパリ会議まで、残すところ半年!

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専門ディレクター(環境・エネルギー)
小西 雅子

博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。昭和女子大学特命教授、京都大学院特任教授兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005 年に国際 NGO の WWF ジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び国内外の環境・エネルギー政策。2002 年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員なども務めている。著書『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波書店 2021)など多数。

世界197か国が温暖化対策を実施する!と決意して2015年に国連で合意された「パリ協定」の成立には感動しました!今や温暖化対策の担い手は各国政府だけではなく、企業や自治体・投資家・それに市民です。「変わる世の中」を応援することが好きな小西です♪

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