2015年合意へ向けて好スタート!?を切ったジュネーブ会議


会議の開かれた国連の建物

温暖化・エネルギー担当の山岸です。
物価の高さに戦慄を覚えるスイスの今日この頃ですが、ここスイス・ジュネーブで、2月8日から開催されていた今年最初の国連気候変動会議が、13日、無事に閉幕しました。

非常に不思議な会議で、なんと報告してよいのやら正直難しいところです。

今回の会議は、国連気候変動会議の歴史では極めて珍しく、若干、前倒しで議論が進み、最後の2~3日はやや持て余していたところがあります。

会議場の様子

私も国連気候変動会議を10年以上追いかけ続けていますが、こんなことは過去にもほとんどありません。いつもは、そもそも議題やら議事の進行のあり方の話で2~3日潰すのが珍しくないからです。

ただそれは、これからの道のりが平坦であることを意味しているわけではありません。

なぜかと言いますと、今回は、難しい事を抜きにしてざっくり言えば、「現状でできることまではやったけど、その後の作業は難しくてできなかった」という状況であったというのが正直なところだからです。

夜、ライトアップされた各国の国旗

なので、今回の会議は、余裕があったような、やっぱりこの交渉は難しい、というのがあらわになったような、不思議な会議でした。

今年12月には、フランス・パリで開催されるCOP21において、いよいよ、2020年以降の新しい国際枠組みに合意します。

それが、京都議定書のような「議定書」という国際条約になるのかはまだ確定ではありませんが、いずれにしても、全ての国々が参加する、国際的な温暖化対策の礎になることは間違いありません。

各国のWWFのスタッフたち。会議が
スムーズだったためか、やや笑顔が多め?

今回の会議の議題ではありませんでしたが、会議場内のカフェテリアでの雑談や、個別の国々の代表団とNGOの会合の中で、色々な国々が2025年や2030年にむけての排出量削減目標を準備しているという話が聞こえてきました。

既に対外的に目標を発表しているEU、アメリカ、中国などは当然そうですが、その他にも、中南米諸国の名前がちらほら...。

日本もぐずぐずはしていられません。

関連情報

 

この記事をシェアする

自然保護室長(気候エネルギー・海洋水産・生物多様性・金融)
山岸 尚之

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より自然保護室長。

京都議定書が採択されたときに、当地で学生だったことがきっかけでこの分野に関心をもち、大学院を経てWWFに。以来、気候変動(地球温暖化)という地球規模の問題の中で、NGOがどんな役割を果たせるのか、試行錯誤を重ねています。WWFの国際チームの中でやる仕事は、大変ですがやりがいを感じています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP