お菓子の奥に見える森


先日、事務局で先輩スタッフの机に置いてあった外国のお菓子(グミ)の袋の成分表示に「Palm Kernel Oil (パーム核油)」という文字を見つけました。

世界一使われる植物油のパーム油が、グミにも?!と驚きました。

このパーム油という言葉から思い出す風景があります。

インドネシアのスマトラ島を飛行機の窓越しに見た景色です。

パーム油は、アブラヤシの実からとれます。核油とは、特にその種(白い部分)からとった油を指します

かつて熱帯林だった場所に造られた、地平線まで広がるアブラヤシのプランテーション。

写真にも納まらないその規模に、手汗が止まらないまま、シャッターを切り続けていました。

原料の表示例。日本では、パーム油が「植物油」ほか20以上の異なった名称で表示されています。

どんな言葉をもっても、あの時の気持ちは表せません。

日本列島よりも大きなスマトラ島の森は、過去30年間で半減しました。

その熱帯林破壊の大きな要因の一つが、パーム油の生産です。

私たちはこれを解決する手段として、生態系や地域で働く人たちの権利を守って生産された、持続可能なパーム油を認証する制度「RSPO」を推進しています。

このRSPOマークが付いたパーム油を作り、それを使った製品を選んで買えば、誰もが森林保全を応援できるのです。

多くの食品や化粧品、洗剤に使用されながらも、日本では一般的に「植物油」と表示されるため、買う人の目に「パーム油」という文字がふれる機会はほとんどありません。

ですが、「植物油」を使うメーカーに、RSPOの認証油を使っているかどうか聞いてみることはできるはず。

左がRSPO認証マーク。ぜひ探してみてください。

そして、消費者としての問題意識を生産者に知らせることは、パーム産業を変え、森を守る力になります。

私も今回、このグミを調べてみることにしました。

すると、マークこそ付いていなかったものの、RSPOの認証油を100%使っていたことが判りました!すごい!!と、グミに2度も驚かされた一日でした。(自然保護室 伊藤)

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自然保護室 森林グループ所属
伊藤 小百合

消費者向けのアウトリーチと、フィールドでの活動を発信するコミュニケーションを担当。

ツンドラでの植生調査、在来種の苗木屋さん、科学館職員を経て、このお仕事に就きました。新しく知るだけでは、変えられない世界があるから、誰もができるアクションをおみやげにできるようなコミュニケーションが目標です。

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