生物多様性に対する取り組みをめぐる5つの視点


2015年3月に発表されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ課題への対応が掲げられているように、企業活動は環境に何らかのインパクトをもたらします。しかし同時にさまざまな環境問題の解決に大きな役割を果たすことも期待されています。WWFでは企業の環境問題への取り組みに注目し、これまでさまざまな提言活動を行なってきましたが、2014年度は新たに企業の環境報告に着目し、原材料調達を中心とした生物多様性に対する取り組みを公開情報から調査しました。

企業活動と生物多様性の保全

この調査の報告書「環境報告に見る企業の生物多様性取り組み~事業活動での位置づけと自然資源資料での考慮」では企業の環境報告を以下の5つから点検し、最後に提言を述べています。

  1. 環境報告発行概況
  2. 生物多様性への言及状況
  3. 原材料調達方針の策定状況
  4. 認証制度への言及状況
  5. 生物多様性に対する体系的な進め方

環境に関する情報は、前述のコーポレートガバナンス・コードで「非財務情報の開示」として求められています。しかし、一部上場企業であっても期待される水準の情報開示がなされているわけではないことが、この調査から浮き彫りになりました。

また生物多様性の観点から見ると、より事業との関係性が深いはずの食品や飲食業では取り組みが殆ど見られず、逆に電機電子工業会等、非生物資源型産業の方が取り組み意識が高いこともわかりました。

この背景には、個々の企業にとっての海外市場の重要性や、海外での事業経験の違いがあるように思われます。

WWFでは生物多様性と気候変動の2つの側面から、企業の開示する環境情報を引き続き精査し、取り組み水準の向上を呼びかけていきます。

参考情報

2015年7月、株式会社レスポンスアビリティより、WWFジャパンの担当者がこのテーマに関するインタビューを受けました。その様子をご紹介します(全10回 1回は5分程度の動画です)

報告書

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